第20話 レオン、ユニの正体に気づきかける?
森を抜け、三人の旅は続いていた。
「先生、今日はどこまで行くんですか?」
マリが聞く。
「ユニちゃんのいる町までじゃ!」
「本当に追いつけるんですか?」
「魔力を追えば簡単じゃ!」
賢者は水晶を取り出す。
しかし――。
「……あれ?」
水晶の光が消えた。
「どうしたんです?」
「ユニちゃんの魔力が……消えた?」
マリが慌てる。
「まさか!」
「落ち着け」
レオンが水晶を見る。
「消えたんじゃない」
「え?」
「別の魔力に覆われている」
レオンは指先を水晶に近づけた。
すると――
青い光の奥から、ほんの一瞬だけ金色の光が現れる。
「……変だ」
賢者の顔が険しくなる。
「これは……」
「何か知ってるの?」
レオンが尋ねる。
賢者は答えなかった。
「祖父ちゃん?」
「……昔、似た魔力を一度だけ見たことがある」
マリが眼鏡を押し上げる。
「どんな魔力ですか?」
「まだ分からん」
賢者は水晶を握りしめた。
「だからこそ、ユニちゃん本人に会わねばならん」
その頃。
ユニとロッタは、小さな町に到着していた。
「わあ……!」
ユニの目が輝く。
町の中央には大きな時計塔。
道には色とりどりの店。
空には魔法で浮かぶランタン。
「陸の世界って、本当に面白い!」
「海とは全然違うね」
ロッタも笑う。
するとユニが突然立ち止まった。
「……あれ?」
「どうした?」
ユニの腕にある青いブレスレットが、淡く光っている。
「また光った」
「賢者さんにもらったやつ?」
「うん」
ユニがブレスレットを眺める。
すると――。
キィィン……
遠くから小さな音がした。
「何の音?」
ロッタが振り返る。
誰もいない。
しかしユニは、なぜか胸が温かくなるのを感じていた。
一方、森の中。
「見つけた!」
賢者が叫んだ。
水晶に青い光が戻った。
「町じゃ!」
「行きましょう!」
マリが走り出す。
「待て!」
レオンも続く。
しかしレオンは、ふと空を見上げた。
「……」
何かがいる。
森の木々の向こう。
一瞬だけ、巨大な魔法陣が浮かんだ。
「今のは?」
「レオン、どうした?」
「いや……何でもない」
レオンはまだ知らない。
この世界でユニを探しているのは、賢者たちだけではない。
王城。
謎の魔法使い。
そして――
ユニを異世界へ飛ばした、あの魔法暴走の秘密。
すべてが少しずつ、ユニの旅へ近づいていた。
そして次の瞬間――。
「ユニちゃーーーん!」
森に響き渡る声。
「人魚様ーーー!」
マリも叫ぶ。
レオンは呆れた顔で二人を見る。
「……この二人、本当に元気だな」
だがその顔には――
ほんの少しだけ、楽しそうな笑みが浮かんでいた。




