第19話 マリの秘密の人形! 師匠と弟子、また大戦争!
旅の途中。
賢者たちが宿で休んでいると――。
マリは一人、部屋の隅で何かを作っていた。
「ふふ……」
チクチク、チクチク。
完成したのは――
ユニそっくりの小さな人形!
青い髪。
可愛らしい服。
そして小さなブレスレットまで再現されている。
「完成……!」
マリは人形を両手で大切そうに抱える。
「人魚様……!」
うっとり眺めている。
「可愛い……」
頬を緩ませ、何度も人形の髪を整える。
「本物のユニ様にまた会いたい……」
完全に夢中だった。
そこへ――。
「マリ、何をしておる?」
「――!?」
賢者が突然入ってきた。
「先生!?」
マリは慌てて人形を隠す。
「今、何か隠したじゃろ!」
「何もありません!」
「見せなさい!」
「嫌です!」
「弟子のくせに師匠に秘密を作るとは!」
賢者が人形を発見する。
「……」
「……」
二人とも固まる。
「こ、これは……」
マリが真っ赤になる。
「ユニ様のお人形です……」
賢者の目が輝いた。
「なかなか出来がいいではないか!」
「触らないでください!」
「ワシにも見せろ!」
「嫌です!」
「ちょっとだけ!」
「絶対ダメです!」
「ならばワシも作る!」
「先生には作らせません!」
「なぜじゃ!」
「私の人魚様だからです!」
「独占するな!」
「先生だって独占しようとしてるじゃないですか!」
「ワシは研究じゃ!」
「私は愛でるんです!」
「それもどうかと思うぞ!」
「先生!」
「マリ!」
またしても二人の大騒ぎが始まった。
「返してください!」
「いやじゃ!」
「私の人形です!」
「ワシにも一晩貸せ!」
「絶対に嫌です!」
その騒ぎを廊下で聞いていたレオンは、ため息をついた。
「……やっぱり二人ともおかしい」
そして、静かに扉を閉めた。
部屋の中では――
「離せ!」
「先生こそ!」
「人魚ちゃん人形はワシが――!」
「渡しません!」
バタン!
ついに人形が宙を舞う。
二人が同時に手を伸ばす。
「「あっ!」」
人形はベッドの上にぽすん。
二人は慌てて駆け寄った。
「……無事じゃ」
「よかった……」
二人は顔を見合わせる。
「……」
「……」
そして同時に言った。
「もう一個作ろう」
「賛成です!」
こうして――。
賢者とマリの「人魚様人形」をめぐる新たな戦争が始まった。
ただし、この二人が本物のユニと再会したときには――
人形など比べものにならないほどの大騒ぎが待っているのだった。




