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第18話 天才レオン、旅に出る

王城の魔法研究室。

「本当に行くのか?」

レオンは大きな荷物を前にして、少しだけ眉をひそめた。

「うむ!」

祖父である賢者は満面の笑み。

「ユニちゃんの謎を解くためじゃ!」

その隣では、マリがせっせと旅支度をしている。

「私は人魚様に会えるなら、どこへでも行きます」

「お主は目的が違うじゃろ」

「同じです。ユニ様を知ることです」

「……まあよい」

レオンは二人を見ながらため息をついた。

「僕は祖父ちゃんたちみたいに、ユニに夢中になったりしないから」

「ほう?」

賢者がニヤリ。

「本当にそうかの?」

「もちろん」

「では賭けるか?」

「何を?」

「ユニちゃんを見ても、お主が何も感じなかったら――」

賢者は考える。

「ワシが一週間、お主の研究室を掃除してやろう」

「……!」

レオンの目が少し輝いた。

「乗った」

マリが呆れる。

「レオン、そこに食いつくんですね……」

ところが。

三人が王城の門へ向かうと――。

「お待ちください!」

騎士たちがずらりと並んでいた。

「賢者様。また勝手に旅へ出るおつもりですか?」

「勝手ではない!」

「では正式な許可は?」

「……これから取る!」

「順番が逆です!」

マリが小声で言う。

「先生、やっぱり止められましたね」

「想定内じゃ」

「想定内なんですか?」

レオンは呆れていた。

「祖父ちゃん、王城から出るだけで大騒ぎじゃないか」

「だからこそ――」

賢者が杖を掲げる。

「秘密の出口じゃ!」

「そんなものあるんですか!?」

賢者が研究室の壁を指差した。

「ここじゃ!」

カチッ。

壁が開く。

「…………」

騎士たちが固まる。

「賢者様……」

「何じゃ?」

「王城にこんな隠し通路があるなんて、聞いてません」

「今知ったじゃろ?」

「そういう問題ではありません!」

三人は隙を見て走り出した。

「行くぞ!」

「はい!」

「……本当に行くんだ」

レオンも二人を追いかける。

王城を抜けた三人。

しばらく歩いて――。

マリが尋ねる。

「先生、ユニ様は今どこに?」

賢者が水晶を取り出す。

「この方向じゃ」

「すごい……」

レオンが水晶を覗く。

そこには淡い青い光。

「これがユニの魔力?」

「そうじゃ」

レオンはじっと見る。

「……変だ」

「何が?」

「魔力が一定じゃない」

賢者の顔が真剣になる。

「ほう」

「人間の魔力とも違う。魔物とも違う」

レオンは目を細める。

「まるで……」

「まるで?」

「海そのものが、人の形をしているみたいだ」

賢者とマリが黙る。

「……」

賢者が嬉しそうに笑った。

「やはり連れてきて正解じゃ!」

「何が?」

「もうユニちゃんの魔力に興味を持っておる!」

「これは研究上の興味だよ」

「はいはい」

マリが笑う。

一方、その頃。

ユニとロッタは宿屋を出発する準備をしていた。

「おばさん、ありがとうございました!」

「またいつでもおいで!」

宿屋のおばさんが手を振る。

「ユニちゃんがいなくなると寂しくなるねぇ」

「私も寂しいです」

ユニは少し涙ぐむ。

ロッタが荷物を背負う。

「次の町へ行こう」

「うん!」

二人が歩き出す。

ユニの腕には、賢者からもらった青いブレスレット。

ロッタの胸元には、謎のペンダント。

そして二人の知らないところで――。

「ユニちゃん、待っておれ!」

賢者。

「人魚様ーー!」

マリ。

「……一体どんな人なんだ?」

レオン。

三人がユニを追っていた。

そして――。

レオンの水晶に、一瞬だけ銀色の光が映った。

「……?」

レオンが足を止める。

「今のは……?」

賢者の顔から笑みが消えた。

「銀色……?」

ロッタの存在を示すその光。

ユニだけではない。

この旅には、もう一つの大きな謎が動き始めていた。

そしてレオンがユニと初めて出会うまで――

あと少し。

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