↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/45

第17話 師匠、大暴走! 「なぜワシを抜かしたぁぁぁ!」

王城の魔法研究室。

その日、賢者のおじいさんは上機嫌だった。

「今日も平和じゃのう」

ところが――。

「賢者様!」

騎士が勢いよく扉を開けた。

「大変です!」

「なんじゃ?」

「弟子のマリが……」

賢者は眉をひそめる。

「また何かやったのか?」

「ユニ様のところへ、こっそり会いに行っていました」

「…………」

一瞬、研究室が静まり返った。

「……なんじゃと?」

賢者の眼鏡がずり落ちる。

「マリが?」

「はい」

「ワシに黙って?」

「はい」

「抜け駆けして?」

「はい」

次の瞬間――。

「なぜワシを抜かしたぁぁぁぁぁ!!」

研究室が揺れた。

「先生、落ち着いてください!」

「落ち着けるか!」

賢者は頭を抱えて走り回る。

「ワシだって会いたかったんじゃぞ!」

「知りませんよ!」

「ユニちゃんは元気だったか!?」

「はい」

「笑ったか!?」

「はい」

「何を食べていた!?」

「そこまで聞いてません!」

「マリめぇぇぇ!」

賢者は地団駄を踏む。

「弟子のくせに、師匠より先にユニちゃんに会うとは何事じゃ!」

完全に大暴走である。

その頃、別の場所では……

賢者の孫が、一人の騎士から話を聞いていた。

「……祖父が?」

「はい。最近かなり様子がおかしいのです」

「祖父だけじゃない」

「え?」

「マリもだろ?」

騎士は頷く。

「はい。以前のマリは研究室からほとんど出ませんでした」

「僕と同じだ」

少年は静かに本を閉じた。

彼もまた、魔法の天才だった。

難しい魔法を簡単に理解する。

けれど、世界にはほとんど興味がない。

「マリは僕と似ていると思っていた」

「私もそう思っていました」

「なのに……」

少年は少し考える。

「最近、二人ともユニという少女の話ばかりしている」

「はい」

「祖父なんて、とうとう研究室を飛び出そうとしている」

「はい……」

少年は立ち上がった。

「見に行く」

「どちらへ?」

「祖父のところ」

「なぜです?」

少年は珍しく興味を示した。

「原因を知りたい」

研究室へ戻ると――。

「マリィィィ!」

「先生、うるさいです!」

賢者が暴れ回っていた。

「どうしてワシを置いていった!」

「だって先生、王城から出してもらえないじゃないですか」

「だからと言って抜け駆けは許さん!」

「ユニ様に会いたかったんです」

「ワシもじゃ!」

「じゃあ一緒に行けばいいじゃないですか」

「それができれば苦労せん!」

そこへ――。

「おじいちゃん」

二人が同時に振り返った。

「……」

賢者が固まる。

「孫のレオンか……」

少年は二人をじっと見る。

「本当におかしくなったんだね」

「おかしくなっとらん!」

「ユニという子の話になると、顔が変わるよ」

「……」

マリも眼鏡を押し上げる。

「あなたも見れば分かります」

「何が?」

「ユニ様の魅力です」

「……」

少年はため息をついた。

「僕には分からない」

「ならば――」

賢者が突然真剣な顔になる。

「調べるぞ」

「何を?」

「なぜワシらはユニちゃんに惹きつけられるのか」

マリも頷く。

「私も知りたいです」

少年は二人を見る。

「……本当に原因があると思っているの?」

賢者は答えた。

「ワシは魔力を研究して五十年以上じゃ」

「……」

「偶然ではない」

賢者の目が鋭くなる。

「ユニちゃんの魔力には、何かがある」

マリも真剣な表情になる。

「私たちが変わった理由も……」

「そうじゃ」

そして賢者は立ち上がった。

「ならば、答えは一つ!」

「ユニ様に会いに行く?」

「その通りじゃ!」

「また脱走ですか?」

「もちろんじゃ!」

騎士が叫ぶ。

「またですかーーー!!」

三人は顔を見合わせる。

こうして――。

魔力の天才である孫まで加わり、ユニに惹かれた理由を探る旅が始まろうとしていた。

しかし、この少年だけはまだ知らない。

自分自身もまた、ユニと出会った瞬間――

大きく変わってしまうことを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。