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第10話 ロッタ、炸裂!――「銀の一族……」

森を揺らすほどの魔力。

銀色に変わったロッタは、静かに立っていた。

「……ユニに、触るな」

その声は、いつものロッタとはまるで違う。

鋭い目。

銀色の髪。

そして、身体から溢れ出す圧倒的な魔力。

王城の魔法使いたちは、思わず後ずさった。

「な、なんだ……この魔力は……!」

「子どもだぞ!?」

「ありえない……!」

白髭の賢者だけは、驚きながらも目を輝かせていた。

「素晴らしい……!」

「賢者様! 何を喜んでいるんですか!」

「見よ!」

賢者はロッタを指差す。

「まだ子どもだというのに、この力……!」

水晶球が激しく震える。

「間違いない……」

賢者の顔から笑みが消える。

「銀の一族だ……」

「銀の一族?」

ユニが呟く。

しかし、ロッタは答えない。

いや――。

答えられない。

本人自身が、何が起きているのか分かっていないようだった。

魔法使いの一人が杖を構える。

「全員、気をつけろ!」

「ロッタ!」

ユニが叫ぶ。

次の瞬間。

ロッタの姿が――消えた。

「えっ!?」

一瞬後。

ドンッ!

魔法使いの杖が地面に落ちる。

「なっ……!」

ロッタは別の場所に立っていた。

さらに――。

シュンッ!

魔法の光が走る。

一人、また一人と、魔法使いたちはその場に座り込んでいく。

「動けない……!」

「魔力が……!」

ロッタはほとんど手を動かしていない。

ただ、圧倒的な魔力で相手の魔法を打ち消していく。

「こんな……」

賢者が呆然とする。

「あり得ん……。

銀の一族の力が、これほどまでに……」

最後に残った魔法使いが杖を握りしめる。

「まだだ!」

魔法が放たれる。

ロッタの目が鋭くなる。

「……邪魔」

バァンッ!!

銀色の魔力が一気に広がった。

魔法は跡形もなく消え、魔法使いもその場で力を失った。

森が静かになる。

全員、無力化された。

「…………」

ロッタは立っていた。

けれど――。

その表情は、どこか寂しそうだった。

「……ユニ」

「ロッタ!」

ユニが駆け寄る。

そして――。

ぎゅっ!

ロッタに抱きついた。

「!?」

銀色のロッタが固まる。

「ロッタ!」

「……離れて」

「嫌!」

「危ない」

「嫌!」

ユニはさらに強く抱きつく。

「ロッタはロッタでしょ?」

「…………」

「髪が銀色になっても、目つきが変わっても……」

ユニは顔を上げる。

「私が知ってるロッタだよ」

銀色の瞳が揺れる。

「……ユニ」

その声が――

ほんの少しだけ、いつものロッタに戻った。

賢者はその様子をじっと見ていた。

「なるほど……」

「……?」

「銀の一族の力は、完全に目覚めたわけではない」

賢者は静かに呟く。

「この少年を元に戻せるのは……」

ユニを見る。

「もしかすると、君なのかもしれんな」

「私が?」

「そうだ」

その瞬間。

ロッタの銀色の髪が、少しずつ黒へ戻っていく。

鋭かった目も、いつもの優しい目に戻った。

「……あれ?」

ロッタは辺りを見回した。

「ここ……?」

ユニが涙目で笑う。

「ロッタ!」

「ユニ?」

「よかった……!」

「どうしたの?」

「覚えてないの?」

「……何を?」

ユニは驚いた。

ロッタは――

自分が何をしたのか、ほとんど覚えていなかった。

そして森の奥では、倒れた魔法使いたちを見ながら、賢者だけが静かに笑っていた。

「銀の一族……」

その声には、恐怖ではなく――

長年探し続けていたものを見つけたような喜びがあった。

「これは……とんでもない旅になりそうじゃ」

そしてロッタの胸元で――

青いペンダントが、再び淡く光った。

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