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中古物件と首輪
実話です。
私が幼い頃に、両親が購入した家は中古物件だった。手入れがされていないから、家の中も汚い。
家中の角には、木材のささくれが飛び出していて、油断して歩いていると、ズボンや足の裏に刺さってストレスが溜まる。
母は毎月、お坊さんを呼んでお経をあげてもらう。再婚相手の元奥さんへ慰謝料を支払っていて「お金がない」と言っているのに、毎月5万円くらいお坊さんに包んでいた。
きっと、「(お前に使う)お金が無い」が正しい意味なんだろな。
ささくれを気にしたほうが、よっぽど安いのに。
「中古物件で汚い家」とは言っても、子供からすると未知の世界だったから色々な場所を探検した。
背の高い植物が壁のように並んで、
まったく光の入らないリビング。
ふやけた襖に、柵に付けられたガム。
階段下には、天井の低い収納があって、
大人が寝そべれるくらいの奥行きがある。
多分、3人は入る。
ここだけ、少しくさい。
道路に面した小さい庭に行ってみると、赤い首輪が落ちていた。荒れた文字で「Rop」と書かれている。続いている文字は、形が崩れていて読めない。
赤い色の素材に銀色の金具。
誰が捨てたんだろう?
犬はどこへ行ったんだろう?
そんなことを考えて、私は首輪を投げ捨てた。




