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70 怪物からの挑戦状

 あれから…。


 俺たちは無事にホホゥを打ち破り、再び雪道を歩むことに…。んで…倒したホホゥは…


「ムゥゥゥ…!なんてやつらだホホゥ!」


「無駄口はいい。さっさと道を教えろ。私に仕留められたくなければな…」


「…ホゥッ!?…わかったホホゥ…。剣をちらつかせないでホホゥ…」


 大人しく道案内をすることに…。レイヴォルトの威圧にビビって、額に汗を浮かべてる…。


 ホホゥの周りを覆うように薄紫色の円が纏わり、なにやら術式のようなものまで描かれていやがる…。それが大人しくしている理由なのはわかんだけど…。


「なぁ…レイヴォルト…。この…やたらややこしいやつ何?」


 俺はこの変な円を作り上げた本人…レイヴォルトへ聞いてみることに…。落ち着いた声で…分かりやすく説明するレイヴォルト…。


「アイテムの一種…『マラギオン』…というものだ。これを使うと対象の行動を制限することができる。基本的には逃げられない…攻撃できない…といったところか…」


「ほぇぇ…」


「魔法にも似たものがあるが、ここではあまり使えないからな…。こういったアイテムで代用するしかない」


 うーむ…。代用にしては結構使えるアイテムだなぁ…。特に魔法の制限されたこのエリアなら充分すぎるほど…。


 俺も何か持ってたらいいんだが…なんもねぇしなぁ…。まぁ…いいや!


「…っと…もう10分くらいたったのか?まだ出口らしいもんはないんだけど…」


「ムゥゥ…!そんなこと言われても…仕方ないんだホホゥ!」


 俺のちょっとした愚痴に苛立ちを募らせるホホゥ…。こいつ…変なこと考えてなきゃいいんだが…。


 逃げられない状況ではあるが、時間稼ぎにわざと変なルートを教えてる可能性もあるし…。あんまり長居はしたくないんだが…。


 …つってもホホゥの心の中を覗けるわけでもねぇし…信じるしかねぇな…。



 ザッザッザッザッ…



「…おい…本当にこの道だろうな…?」


「…本当にこの道が一番近いんだホホゥ…そんなに睨まないでほしいホホゥ…」


「あまり悠長にしていれないからな…。変に時間を稼ごうとしたなら…わかってるだろう?」


「…わかってるホホゥ…」


 レイヴォルトの言葉に畏縮するホホゥ…。この様子だと嘘をついてはいねぇな…と思う…。


 まぁ…ここまで被害も罠もないし、大丈夫だろ…。


 そー思っていると…


「…おっ!あれは…」


「…出口のようなのね!」


 そう…。俺たちの目線の先に現れたのは氷結した巨大階段…。こいつを上れば、きっと次のエリアにたどり着くはず…。


「…よし…。ここまでご苦労様。すぐにここから…もう私たちを追うようなことはするなよ?」


「ホホゥ…そんなことはしないホホゥ…」


 レイヴォルトとの事前の話し合いで、ホホゥを仕留めるのは止めることになっていた。


 …まぁ…そーいうのは生ぬるい…とか優しすぎる…なんて言われるかもしんねぇけど、なんつーか…案内させた後にそんなことすんのもなー…なんて思ったり…。


 よーするに!外道には成り下がりたくなかったっ…つーわけよ!


「よっし!このままこのエリアはおさらばだな!行こうぜ!」


「ふぅ…今がとんでもなく危険な状況なの…わかってるのね?」


「ティナさんの言う通りだ…。気を引き閉めるようにな」


「はいよ!」


 ティナとレイヴォルトからの警告を受けて…俺は軽い口調で応える…



 …そのとき



 ザシュッ…ブシャッ…!!



「ホッ…ゥゥ…」



 ドサッ…!



 なっ…なんだぁ!?突然ホホゥの奴が倒れたと思ったら…たくさんの血が流れてやがる!!ヤバい!


「おい!お前!どうしたんだよ!なんで…」


「…あっ…あの…おっ…男…だ…ホホゥ…。気をつけ…る…こと…だ…ホ…ホゥ…」



 バタリ…



 俺の呼び掛けに…ホホゥは最後の言葉を振り絞った末、事切れちまった…。もう体温も感じない…。この異常事態…何かが俺達の身に迫ってる!


 そう思っていると…


「ヒッヒッヒッ…。せっかくの恩を仇で返す…。ホホゥも所詮はそんなもんかねぇ…」


「…!?…その声…!」


 俺達から少し離れた位置にそいつはいた…。


 極寒の世界に佇む異様なほどの長髪の持ち主…。見た感じビックリするぐらいに痩せてやがる…。ちゃんと飯食ってんのか?…なんて思うくらいに…。


 俺はそいつを睨み付けて…確信を持って名前を口にした。


「お前は…バルコス!」


「ヒヒッ…なんだ…覚えてんのか…」


「覚えてるもなにも…俺を殺そうとしたやつの声は忘れるわけねーだろ!」


「ヒヒヒッ…!」


 このやろー…。余裕ぶってやがる…。だが…一瞬にしてホホゥを仕留める力量は本物…!レイヴォルトがいるとはいえ…ここで戦えるかどうか…。


 そんな思いが巡っている横で…レイヴォルトは厳しい視線を向けながら口を開く。


「…バルコス…『恩を仇で返す』…さっきの言葉は…」


「ヒヒッ…そのまんまでさぁ…。殺戮モンスターの頃のホホゥを…ここにヘッドハンティングしただけのことよ…。もっとも…こんなこと他のやつらには伝えちゃいないですがね…」


「ゲアォウルは危険指定第一種…。本来なら駆除対象のはず…。お前のやっていることは許されないことだぞ!」


「ヒヒッ…それをあんたが言えるんですかねぇ…?剣聖のレイヴォルトさん?」


「…」


「ヒッ…まぁ…別にいいですがねぇ…」


 不気味な表情を浮かべながらバルコスは挑発するような視線を送ってくる…。このままだと…俺達の居所が看守のやつらにバレちまう!どうしたら…


「…ヒヒッ…!一応言っとくと…あんたらのこと…上には報告しないですよぉ?」


「…はっ?なに言ってんだよ…?」


 俺の当然の疑問…。バルコスは笑みを浮かべながら…その次を口にしていく。


「…まぁ…ここまで面白いことになってんだ…ここいらでちょいと…勝負しないですかねぇ?」


 戦いはまだまだ続く…。


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