表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/113

66 突然の襲来!これはヤバイ!

 俺はその場でうずくまっちまった…。頭を抱え、これからの未来を考えると嫌というほど落ち込みそうだ…。


 ティナは魔法がうまく扱えない…。俺はスキルだけが頼り…。…これは危機的状況に陥った…わけだよな…。


「ヤベェよ…ティナ…!どうしよう…」


 そんな風におろおろするだけの俺に向かって…影の中から顔を出したティナは…


「ふぅ…お馬鹿なのね!」


 シンプルに叱責…そして呆れ果てたような顔をしていた…。俺は弁解するようにティナの方に向かって口を開いていく…。


「だってよ!…これって…」


「そうじゃないのね!罠を見破れなかったことよりも…今のお前の態度…それがお馬鹿なのね!」


「…へっ?」


「緊急時にそんな風に焦るような男じゃないはずなのね!…フィールとの戦い…あのときはどうだったのね!?」


「うっ…!」


 こいつは痛いとこ突かれたな…。確かにこんなとこでおたおたすんのは良くねぇ…。せっかくだ…。俺のゲームで培った知識で攻略してやる!


 …こーいう寒いとこで生息するモンスターは大抵火属性の攻撃に弱いはず…。今の俺が扱えるのは…


「『フレイムボール』…『ヒートブレイク』…ショボい攻撃しかできねぇ…」


 一応クリスと一緒に特訓した間、いくつか魔法やらを覚えておいたんだが…。なんつーか…覚える技も大したもんがねぇなぁ…。


 んまぁ…元々スキルに全フリしちまってるから当然なんだが…。これだと今さっきの猛獣は倒すの難しいか…。


 そういや…


「ティナ…お前って今どんな魔法使えんの?」


「…そんなに強い魔法は使えないのね!『アラカトル』…『バメル』…『ギアバレロ』…そんなとこなら使えるのね!」


「…いや…それでもなかなかだぞ…」


 さっきティナが言ってた魔法の数々…。実を言うとかなり使い勝手のいいやつばかりだ…。


 例えば『アラカトル』は無数の炎の槍を出現させて乱射する魔法だし…。


 『バメル』は敵の足元に炎方陣(えんほうじん)を仕掛けて、動いた瞬間に焼き付くすし…。


 『ギアバレロ』なんて炎の竜を召喚する優れもの!


 おいおい…魔法が使えないなんて嘘っぱちじゃねぇか!


「お前なぁ…それだけ使えりゃ十分だろ…」


 俺の当然な指摘に…ティナはそれでも反論する…。


「ふぅ…これだから…。魔法音痴なお前にはわからないだろうけど、使えるにしても相当威力が抑えられるのね…」


「抑えられるって…どのくらい?」


「…『ギアバレロ』!!」


 ほぉぅ!?そんなもん…ここで打ち込むなよ!


…と思ったが…



 ボッ…シュン…


 クッ…クエェェッ?



 ん?なんだ…この小さな炎は…。てっきりドデケェ炎の竜でも出てくんのかと思ったんだが…。


 そんな俺の疑問に…ティナはため息をつく…。


「ふぅ…。見ての通り…こんな炎竜しか出せないのね…」


「…なるほど…。こりゃ無理だ…」


 そーいうことか…。魔力結界の影響かなんかで大幅に抑えられてるってわけか…。確かにこんなんじゃ戦力としてはもの足りねぇ…。


 そーなると…ここは隠れながら進んで、レイヴォルトとの合流を目指すか…。変なやつに見つかる前に何とかしないとな…。


「…そんじゃ…俺の影のなかに入っとけ。『潜伏スキル』で進んでみるわ」


「ふぅ…ティーとしてもそれが一番だと思うのね…」


 幸いにもスキルの使用はなんとかいけるみたいだ…。いくら狂暴な猛獣でも、『潜伏スキル』の前では反応することもできないだろ…。ちょっと危険な気もするけどな…。


 そう思っていると…











「ホッ…ホホゥッ!これはなんとも…美味しそうな人間がいるホゥッ!」


 



 …!?なっ…なんだ!?突然俺たちの上から変な声が響いてきた…。聞いた感じだと…ヴォヴォルやバルコスとは違う…。だが、間違いなく俺達にとっては敵のはず…!


「どっ…どこにいやがる!姿を見せやがれ!」


 そうやって俺が声を張り上げると…



 ピュンッ…!



「…!ユキッ…!危ないのね!」


 

 ドスッ…!…ドサッ…!



 鋭い風切り音…。その一瞬にティナが俺の体に体当たりを…。その衝撃で二人一緒に雪の上に倒れると…



 ビキッ…ボキッ…バッサァァァァン…!



「ほぁっ!?」


 なんてこった…俺の側にあった木が一瞬にして倒れちまった…。よく見ると綺麗に切られちまってる…。間違いなく…何かしらの刃物で切られたあとだ…。


「ボーッとするんじゃないのね!ちょっとでも遅れたら…お前は真っ二つになってたのね!」


「なっ…!俺達…攻撃されてたのか!?」


 俺の焦りようを嘲笑うかのように…再びあの声が…


「ホッホゥ…ミーの鮮やかな攻撃を避けるとは…。その幼女に助けられたようだホッホゥ!」


 俺は倒れた状態から声のする方へ顔を向ける…。ちょうど斜め上の大木の枝に…そいつはいた…。


「なっ…!なんだあのムキムキ梟は!?」


 そう…俺の目に見えたのは筋肉溢れるガタイのいい梟だった…。デケェ体…恐ろしいほどモコモコしていそうな体毛…。なにもかもがヤバイと直感した…。


 そんな状態にも関わらず、木から落ちねぇって…相当バランス感覚もいいな…じゃなくて!


 それよりも…あいつ…


「あっ…あのモンスター…喋ってる!?」


「ホッホゥ!ミーはこの氷雪の間の番人…『ゲアォウル』のホホゥだホッホホゥ!」


 『ゲアォウル』…。俺も聞いたことがある…。特に寒い地方に生息する危険な鳥類モンスター…。肉食獣であり、食べたやつの能力を身に付けるとかなんとか…。つーことは…喋るのもその影響か…!?


「ホッ…ホホウ…。本当なら無駄に食べるのは良くないけど…遠慮なく殺してやるんだホッホゥ!!」


 くっ…!ここにきて…まさかの中ボス戦!これは…ますますピンチだ!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ