67 危険な逃走劇!
「ホッホホゥ…!どこに逃げようと…このホホゥからは逃れられないんだホホゥ!」
くっそー!こんなときにこんなムキムキ野郎に見つかっちまうなんて!運が無いっつーかなんつーか…。
とはいえ…
「よし!ティナ!逃げるぞ!影ん中入っとけ!」
「…仕方ないのね!」
スッ…
タッタッタッタッ…!
俺はティナが影の中に入ったのを確認した瞬間…その場で全力ダッシュした…。そりゃ戦う選択もありだが、今の俺達じゃ無理だ…。
とにかく…レイヴォルトと合流できる可能性に賭けて走りまくるしかねぇ!
…が…
「ホホゥ!ミーから逃げられるわけないんだホホゥ!」
ビュンッ…!
後ろからものすごい勢いで飛んでくる梟野郎の気配が…。さっきの攻撃受けたら致命的…。なんとしても逃げ切らねぇと!
そのためには…
「くそっ…!『潜伏スキル!』」
フッ…
これならあいつの目を眩ませるくらいはできる!俺達の存在を誤魔化して…できるだけ遠くに逃げれば…
「ホホゥ…スキルを使ったようだホホゥ…。…でも…関係ないんだホホゥ!」
ビュンッ…ビシュッ!
「…っ!?くそっ!」
なっ…なんつーことだ…。あのやろう…スキル使ってるのに俺の位置がわかるのか、足首を攻撃しやがった…!
致命傷にはならなかったが…ちょっとした切り傷が…。たぶん…何かしらの刃物でも使ったのか?
「なんで…『潜伏スキル』使ってんのに…!」
そうやって俺が独り言を言っていると…それに答えるかのようにホホゥの野郎が口を開く…。
「ホホゥ…お前の姿事態は見えないホホゥ…でも…足跡事態は見えるんだホホゥ!」
げっ…!そーれはマズイ!どれだけ逃げてもこのエリア内では見つかっちまうわけかよ…。
こんな調子じゃあ…レイヴォルトとの合流前にヤラれちまう!足跡で俺の位置を理解してるって訳だから…声とかは聞こえてないよな…。
んなら…
「ティナ!あいつを足止めできねぇか!?ショボい魔法でもなんでもいいからよ!」
ヒョコッ…
「…ショボい魔法って…失礼なのね!でも…まぁやってみるのね…」
影の中から上半身を出したティナは、右手をホホゥの方へ向けると…
「…『アラカトル』!」
ババババババ…!!
右手を前に出して、炎の槍を一斉に出現させた…。…とはいっても、まるで爪楊枝みたいな大きさなんだが…。
…いや!ある程度のダメージはあるかもしれねぇ!なんたって炎の槍だからな!そのまんまだけど…
シュババババババ…!
無数の槍は真っ直ぐにホホゥの元へ…。一応『潜伏スキル』の影響は魔法には効かないから、ホホゥからすれば突然槍が飛んでくるように見えるんだろうな…。
槍の勢いは魔力を抑えられているにしては中々なもの…。倒すのは無理でも、足止めくらいには…
「ホホゥ!面白いことしてるホホゥ…でも…」
ブォンッ…!
…パァンッ…!
一瞬…ホホゥの野郎が翼を羽ばたかせると、無数の炎の槍は吹き飛ばされてしまった…。傷をつけることもなく…炎の群れは一気に消え去る…。
「おいおい…どんだけパワータイプなんだよ…!翼動かしただけでこれかよ!?」
「…よっぽど鍛えられているのね…。これだと、生半可な魔法は効かないみたいなのね…」
「ちょっ!諦めんなって!」
俺は全速力で走りながら次の一手を考えていくことに…ってそんなもんねーよ!『アラカトル』でこれだったらどーしよーもねぇ!『潜伏スキル』使って逃げ回るしかないだろ!
くそー!なんとかして…レイヴォルトと合流しねぇと…。うーむ…合流…
おっ!閃いた!
「おい!ティナ!とりあえず…さっきの魔法をやたらめったらぶっ放せないか?ちっこいのでもなんでもいいからよ!」
「おっ…お前!なに考えてるのね!さっきも見た通り…あいつには効かないのね!」
「いやいや…それが目的じゃねぇよ!とりあえず…一気にやってくれ!」
「…なにか考えがあるようなのね…?」
「モチのロン!」
俺の作戦は大雑把だが、なんとかなるはず!少なくとも…やってみる価値はある!
そんな俺の真意を察したのか…ティナはため息をつくと、やれやれ…と言いたげに呆れて右手を再度前へ…。
「ふぅ…覚悟を決めてもらうのね!…『アラカトル』!!」
ブァァァァ…ババババババ…!!
さっきよりもものすごい勢いで発射される槍の群れ…。さすがのホホゥも一瞬動きを止めるが、そこまで驚くようなことはせず…
「まったくもって…懲りないやつらだホホゥ!」
パァンッ…!
さっきと同じ要領で弾き返していく…。一切の攻撃が通らない以上、倒すどころか足止めも無理だろう…んでも…
シュボッ…!
弾き飛ばされた槍は林の木々へと飛び散り、そのまま火が燃え移ることに…。ここら辺は比較的吹雪の勢いが穏やか…。そんなこともあって、木が燃えるペースもそこそこ速い…。
「…よし!そのままもっと炎を広げてくれ!」
「…まさか…ここら一体を炎で焼き尽くすつもりなのね!?危険すぎるのね!」
俺の思惑に気づいたティナはやや焦ったように口を開いた…。確かに危ないような気はするが…
「危険は承知!この炎なら…レイヴォルトも気がついてやって来るだろ!早く合流しねぇとな!」
「…!…かなりの博打なのね…」
「…まぁ…やらねぇよりはやってみるしかねぇ!…つー訳だからよ!」
「…わかったのね!」
こっからは持久戦…!レイヴォルトが駆けつけてくれるのが先か…ホホゥにヤられるのが先か…。
俺の足とティナの魔法に全てを賭けてやるぜ!




