番外編②「中指のタコ糸と、おふくろの呪い(たぶん違う)」**
おふくろは、生前、
両足の中指にタコ糸を巻いていた。
「……何でやねん」
子ども心に思った。
「そんなん巻いて、何んのマジナイやねん?」
そう聞いた記憶はある。
でも、おふくろの答えは憶えていない。
いや、そもそもちゃんと聞いてなかったのかもしれん。
病気予防?
冷え対策?
民間療法?
それとも、ただのクセ?
謎は謎のまま、
おふくろはこの世を去った。
──そして不思議なことに。
引き継ぐように、
いや、形見分けのように(笑)、
いつの間にか、ぼくも中指にタコ糸を巻いていた。
何でやろ?
……わからん!!
でも、巻いてる。
そんなある日。
いつものように、30分ほどの散歩に出かけた。
すると突然、
右足が痛い。
いや、
痛いなんてもんやない。
痛ッ! 痛ッ! 歩けない!
靴の圧迫感?
サイズ合ってるやん?
昨日まで何ともなかったやん?
締めつけられるような感覚。
まるで……
「タコ糸の呪い」やんけ!!
靴を脱いで、ちょっと休む。
……あ、歩ける。
しばらく歩く。
……痛ッ!痛ッ!
また休む。
……歩ける。
何やねん!!
このだまし絵みたいな足は!!
結局、
普段30分のコースが、
小一時間の地獄ウォーキングになった。
家に帰って、右足をチェック。
……タコ糸、ない。
左足は?
……ある
え?
右だけ消失?
いつの間に?
誰が外した?
おふくろ?
その瞬間、
すべてを悟った。
ぼくは、無言で、
右足の中指にタコ糸を巻いた。
これでいい。
これで、きっといい。
さぁ、さぁ――
明日の散歩は、どうなるかな?
(つづく……かもしれない)




