↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鳥獣戯詩  作者: 妻戸裕次


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
22/44

第21話「炎を見つめる犬は、哲学者かもしれない]

正月が明けると「大とんど」だ。今宵がそう!!


正月飾りを焼く。無病息災だ、五穀豊穣だ。――まあ、要するに「燃やしてスッキリ」なのである。


人は昔から火を見つめて、いろんなことを考えてきたらしい。


「炎には癒し効果がある」だの、「思考力が高まる」だの、「炎は守護神の権化」だの。

先人は好き勝手なことを言う。(ホンマかいな!)


ぼくがちっちゃい頃、「ドル」という犬を飼っていた。1ドル360円の時代だ。――なんのこっちゃ!!


ぼくのオジィとドルは、たき火が好きだった。ドルが「ワン」とひと声吠える。


それが合図だ。次の瞬間、火はガスバーナーのように燃え盛り、パチパチ言いながら、立派な炎になる。


オジィは、その炎をじっと見つめている。まるでヨガをする哲学者。ドルもちょこんと座り、同じように炎を見ている。目ヤニをためるほど、じっと、じっと。


ある日、オジィがぽつりと言った。


「ドルはな、先祖の記憶さえ引き継いどるんや」


どういう意味?

ぼくは考えた。

オジィは黙る。

ドルも黙る。

ぼくも黙る。

饒舌なのは炎だけだ。


炎はよくしゃべるくせに、見る者をみんな寡黙にする。


ドルは炎を見ながら、先祖から受け継いだ記憶を一本一本、たぐり寄せていたのだろうか。

――いや、たぶん違う。


「とりあえず、今は吠えなくていい」→ 焚き火の前では、世界はだいたい大丈夫だった、という記憶。


そしてドルは思う。

「よく分からんけど…あったかいし、ここ、好ッきゃねん」


しっぽを一度だけ、ゆっくり振って。先祖の記憶は、また灰の中へ。


――たぐりよせるのは知恵というより、**“安心の履歴”**なんかも。


きっとドルは、

哲学者でも守護神でもなく、愛すべきドル、“アイドル”だった(笑)。


なんのこっちゃ(笑)1

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。