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鳥獣戯詩  作者: 妻戸裕次


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第14話 『白い虹』

「子供は近寄ったらあかん」

祖母の声が松茸山の入口で風のように残っていた。


それでも青 赤 緑縞のワンピースが雑木林へ吸い込まれていくのを、ぼくは見てしまった。


振り返った顔は墓寺の白い菩薩、光のなかで色はほどけ、やがて白へ。


操られるように足が進む。

「何しとんねん」

「白い虹を探しとる」


祖母の話……、海の青、太陽の赤、山の緑、重なって命になる光。


少女は答えのかわりに、色を風に返し池へ放った。


その瞬間、水の上に白い虹。


瞬きをした…もう誰もいない。


帰って話すと、父は言った。

「あそこには白いキツネがおる」


騙されたんや、騙されたんやと…


けれどあの白い虹だけは、今も目の奥で消えない。

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