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絶対に進化できないスライム転生  作者: 瘴気領域


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第66話 Is this ISEKAI-TENSEI!?

 キュティとボリングが夜を徹してキッポン対策を話し合っていた頃――

 当のキッポンは魔石鉱床にいた。

 なぜかと言えば、


(一度諦めて撤退したのに、次の日に来たらすっかり解決してたとか、完璧に陰の実力者ムーブだよね!)


 という毎度の浅はかな魂胆である。


「今度は作戦もちゃんと考えてきたしねー」


 キッポンは触手ドリルを形成すると、大きな落とし穴を掘った。


「このままじゃ壁を登られちゃうから……」


 体内で潤滑剤を合成し、落とし穴の壁面に吹き付ける。

 これがキッポンの作戦であった。

 要するにアリなどを捕まえるトラップの大型版である。


「じゃ、試してみますかね」


 キッポンはドライヴァルの鱗を使って板を形成。ドライヴァルの鱗は酸にやたらと強いので、腐食する心配もない。ブルドーザーの要領で手近なマナイーターを落とし穴に放り込む。

 落ちたマナイーターはうぞうぞと壁を登ろうとしたが、滑って這い上がれないようだ。


「よーし、狙い通り上手くいったぞ」


 気をよくしたキッポンは、そのまま辺りのマナイーターを落とし穴に放り込んでいった。このやり方ならマナイーターに一切触れることなく処理ができる。


 小一時間ほどの作業で、魔石鉱床に蔓延っていたマナイーターをすべて処理できた。落とし穴の底では、ひとつにくっついたマナイーターがうぞうぞと蠢いている。体重はおよそ一トンほどか。キッポンと同じくらいの大きさだった。


「さて、このあとどうするかだけど……。一箇所に集めちゃえば、あとは誰かがなんとかなるでしょ」


 ここから先は何も考えていなかった。

 最悪、駆除ができなくとも隔離できていれば危険はないはずだ。キッポン的にはこれにて一件落着である。


「よーし、さっそく魔法の修行をしてみるかな。定番だと瞑想? 呪文とかも唱えた方がいいのかなあ」


 キッポンは落とし穴の縁に佇み、「ナウマクサンマンダボダラン、リンピョートーシャーカイチンレツザイゼン、ナンミョーホーレンゲーキョー」とめちゃくちゃな呪文を唱え始める。前世では伝奇ものも好きな方だった。

 謎の読経を始めてしばらくした頃、穴の底から何かが聞こえてきた。


「ヘルプミー ヘルプミー……」

「っ!?」


 人の声のようである。

 まさか、誰かが間違って落とし穴に落ちてしまったのだろうか。


「おーい、誰か落ちたんですかー? 大丈夫ですかー?」


 キッポンは慌てて声をかけた。


「ワッツ!? イズ サムワン ゼア? プリーズ ヘルプ!」

「おっ、オウ! アイムノットスピークイングリッシュ! アイムジャパニーズオンリー!」


 英語で返ってきたものだから、相変わらず残念な英語で叫び返して、


「あれ? 英語……?」


 と我に返った。


「ニッポンの方ですか? ワタシ、日本語しゃべれマース!」

「うおおおおおお!? 第一転生者発見!?」

「ワッツ? フォーリアル!? イズディス ISEKAI-TENSEI!?」


 そういえば、ISEKAIはオックスフォード英語辞典にも収録された世界共通語だったんだと、キッポンはふと思い出した。

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