第40話 スライム、狙撃される
「そういえばさ、なんで護衛とか連れてこなかったの? ネイディって、けっこう偉い人なんでしょ?」
道すがら、リーフが拾った葉っぱで作った草笛をぴゅーぴゅーと吹きながら尋ねる。
「うむッ! 無駄だからだなッ!」
力強く答えるネイディ。
「ノミカユインのような搦め手に多勢はかえって不利になるし、ドライヴァルのような強者にも隊列の組めん山道では対応できん。少数精鋭というわけだなッ!」
「あたしはただの狩人なんだけどなあ……」
「ははは、そう心配するなッ! この霊峰には魔を祓う結界が施されておる。そうそう危険などないはずだ」
ネイディはこのように説明したが、もうひとつ理由があった。
それは王都の防衛強化と、フォレストサイドの救援にひとりでも多くの人員を当てたかったからだ。会議ではひとりで行くと言ったのだが、さすがにそれは承認されず、キッポンたちを護衛とすることで許されたのである。
(思いっきりフラグだけど、大丈夫かなあ)
背中にキュティを負いながら、キッポンは前世で見たアニメなどを思い浮かべる。
安全な結界の中で安心していると、結界がバーンと砕かれて、敵が現れるのが定番だった。
(ま、現実はアニメじゃないけど。念のため警戒はしておこうかな)
体の一部をにゅるんとアンテナ状に伸ばす。
レーダーモードの簡易版だ。
王城でやったときほどの精度はないが、ここは見晴らしがいい。
数百メートル以内なら、たとえ透明人間が近づいてきたって探知可能だ。
「……んんっ?」
違和感。
キッポンは反射的に己の身体を傘状に展開。
一行の頭上を覆い隠す。
ガギィンッ!!
激しい金属音。
「な、なにっ!?」
「敵襲かッ!?」
「何事ですかっ!?」
リーフ、ネイディ、そして飛び起きたキュティが驚きの声を上げる。
「うーん、どうも上空から狙撃されてるみたい」
「空からだと……ッ!? 結界は上空1キロまでは展開されてるはずだぞ……ッ!?」
「ってことは、それ以上の長距離狙撃ってことだね」
キッポンは探知の指向性を上方に集中する。
上空約1200メートルに翼長10メートル余りの巨大な鳥。
そしてその背中に、何者かが乗っているのを把握する。
(結界に入れないなら外から……ってことか。単純だけど、できるんならやらない手はないよね。それにしても、ドライヴァルの鱗を捨てなくてよかった)
超長距離狙撃を防げたのは、ドライヴァルの鱗を並べて盾にしたからだった。酸に強く、消化できなかったのが幸いしたのだ。
ちなみに捨てなかったのは、「こういうのって、レアアイテムの合成素材になったりするものだよね!」という理由である。
「1キロかあ。いけるかなあ……」
キッポンはにゅるっと触手を伸ばし、手近な石を掴んでぶんぶんと回し始めた。




