第4話 スライム、エルフ少女についていく
男は、エルフの少女からもらったドライフルーツをありがたく頂戴した。
甘酸っぱくて爽やかな味だ。
前世で言うと、干しプルーンに近い。
この世界に転生して初めての甘味に感動する。
少女は立ち上がり、ゆっくりと歩き始めた。
後ろをちょくちょくと気にしている。
どうやら付いて来いと言っているらしい。
言葉こそ通じなかったが、お礼もくれたし、助けてあげたことが伝わったのだろう。
(異世界でも、異種族になっても、真心っていうものは伝わるんだなあ)
男はるんるん気分で少女の後をついていった。
きっと、彼女の住処に招待してくれるのだろう。
初めて出会った女の子の家をいきなり訪ねるのはさすがにどうなんだとも思ったが、ついさっき襲われていたばかりでもある。それに夜の森には猛獣などもいるかもしれない。女の子を家まで送るのはむしろ紳士的な行いではないか。
そう、俺は送り狼なんかじゃないぞ。
「何しろスライムだからな! がはは」
スライムジョークである。
女の子がびくっと振り返る。
いかん、無意識に声にしてしまっていたらしい。
ごめんごめん、びっくりさせちゃったよね。
言葉が通じないのに、ジョークなんか伝わるわけもないのに。
とりあえず、ごめんね、と頭の形にした触手を下げてみる。
慌てて目を逸らされたけど、意図は伝わったかなあ。
そういえば、頭を縦に振ったらNo、横に振ったらYesという、日本とは意味が逆な文化もあるって聞いたことがあるな。
ひょっとすると、「俺の小粋なジョークが伝わらないなんて、がっかりだぜ」みたいに捉えられちゃったかもしれない。
そうだとしたら嫌だなあ。
言葉が通じるようになったら誤解を解こう。
(そういえば、どうやったら【自動翻訳】みたいなスキルが生えるのかな?)
ゴブリンを食べたけど、新たなスキルが芽生えることはなかった。
初めて食べた魔物だから、期待してたんだけどな。
まあ、ゴブリンなんて最下層の雑魚だと相場は決まっているし、大して経験値も手に入らないんだろう。
そんなことを考えながら進んでいると、森の奥から二つの灯りが近づいてきた。
松明を手にした男エルフが二人だ。
「繝ェ繝シ繝?、辟。莠九□縺」縺溘°!」
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「縺?、縺?@繧阪?縺昴l縺ッ菴輔□!?」
「縺医▲縺ィ、蜍晄焔縺ォ縺、縺?※縺阪■繧?▲縺ヲ。蜊ア髯コ縺倥c縺ェ縺?……縺ィ縺ッ諤昴≧」
二人は少女のもとに駆けつけると、こちらを指さして何かしゃべりだした。
少女もこちらをちらちら見ながら何事か説明している。
言葉はさっぱりわからないが、会話を再現するとこんな感じか?
「無事だったのか!」
「ごめん、心配かけちゃって」
「あ、あのスライムは何だ!?」
「ゴブリンに襲われているところを助けてくれたの! 私の命の恩人よ!」
最後は希望的観測がだいぶ混じっているけれども。
男二人は警戒心むき出しのままだが、とりあえず攻撃されたり追い払われたりすることはなく、彼らが住む村までついていくことができた。




