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転生スライムの勘違い努力無双~進化もレベルアップもしないけど、生命の常識くらいは軽く超越していきます~  作者: 瘴気領域


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第20話 スライム、ボスタウロスを倒す

 次の作戦のため、キッポンは再び触手を空高く伸ばし、先端に眼球を形成して戦況を確認した。


(沼地作戦で1割、落とし穴作戦で半分、残りはざっくり四割くらいかな。最初が一万だったとして、残り四千体。まだまだたくさんいるなあ)


 まだまだ直接戦えるような戦力ではない。

 キッポンは予定通り、第二の作戦を開始する。

 目の前に並んでいるのは、アーチ状にたわめられた木々。

 枝が払われ、幹だけになった木々の先端は、硬化した粘液で地面に縫い留められている。


(よし、いっけぇええええ!!)


 ぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅっと分解液を吐きかける。

 粘液から解放された木々が唸りを上げてしなり、別種の粘液で作られていた網を跳ね上げ、網に包まれていた丸太や岩石が一斉に飛び出す。


 ――ぶもおおおおおおおおおおおおっっ!?


 降り注ぐ大量の丸太や岩石の雨に、バッファロータウロスが潰され、砕かれ、断末魔を叫ぶ。


(よーし、試射する時間はなかったけど、いい感じに命中したぞ! この調子でじゃんじゃんいこう!)


 キッポンは即席投石機を次々に起動。

 青空を無数の丸太と岩石が埋め尽くし、天地をひっくり返したかの如く降り注ぐ。

 それは容赦なくバッファロータウロスたちを打ちのめし、直撃を免れた者も生き埋めにしていった。


 しかし、一匹だけ傷ひとつ負っていない者がいる。

 防壁に向けて仲間を投げつけていた個体だ。

 両刃の戦斧を振り回し、飛来する丸太や岩石をことごとく叩き落としている。


(おお、すごい。三国志に出てくる猛将みたいだ。牛だけにモー将……なんてダジャレを言ってる場合じゃないな。きっとアレがこのイベントのボスに違いない!)


 キッポンは最後の投石機に飛びつくと、自らの体ごと発射した。

 凄まじい速度で景色が流れ、風切音が全身を包む。

 狙いはもちろん――


「くらえ! 必殺スライム・ヒップドロップ!!」

「ぐもうっ!?」


 上空から高速落下してくる半透明の球体に、バッファロータウロスのボス――ボスタウロス(仮称)が驚愕の声を上げる。


「ぐもっ!!」

「ひゃああああああああっ!?」


 しかし、敵もさる者。

 即座に平常心を取り戻し、戦斧を一閃。

 キッポンの身体を真っ二つに両断した。


「ぐもっもっもっもっもっ」


 強敵を倒したと思ったのだろう。

 戦斧を振り回しながら高笑いをする。

 しかし――


「「びっくりしたなあ、もう」」

「ぐももっ!?」


 両サイドから同じ声が聞こえ、再び驚愕した。

 ボスタウロスの左右には、半分になった球体がぷるんと震えていたからだ。


「「あっはっはっ! スライムがふたつになったくらいで死ぬもんか!」」


 キッポンが勝ち誇るが、内心ではドキドキだった。

 ふたつになった経験なんてないから、本気で死ぬかと思ったのだ。


(だけど、ここは決めシーンだよね!)


 エルフ村にちらと視線をやり、櫓や塀の上から固唾を飲んで見守っているエルフたちの姿を確認する。ここはカッコよく決めなければならないところだろう。


「「くらえっ! 毒入り粘着液っ!!」」

「ぐっ、ぐむう……!?」


 ぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅっ。

 二匹の巨大スライムが、森で食べた毒キノコなどから抽出した猛毒を含む粘液を吐きかける。

 ボスタウロスは全身を包む粘液の中でしばらくもがき、やがてごぽりと泡を吹いて動かなくなった。

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