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転生スライムの勘違い努力無双~進化もレベルアップもしないけど、生命の常識くらいは軽く超越していきます~  作者: 瘴気領域


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第19話 スライム、罠を発動する

(おおー、すごい。大戦争だ。タワーディフェンスっていうか、もはやウォーシミュレーションだね、これは)


 エルフとバッファロータウロスの戦いを、キッポンは少し離れたところから観戦していた。

 森に身を潜めて垂直に触手を伸ばし、先端に目玉を作ったのだ。

 これのおかげで、遠くからでも戦況を俯瞰できる。


(エルフの弓って強いんだな。急所に当たってないのにバタバタ死んでるし、毒でも塗ってるのかな?)


 エルフたちは予想以上に奮戦している。

 沼地による足止めももちろん効いているが、その秘訣はキッポンが想像したように矢じりに塗った毒にあった。

 森で採れる毒キノコや、毒虫、毒蛇、毒ガエルなどから抽出した成分を配合したもので、かすり傷から入った量でも大型の猛獣を即死させる強毒である。

 肉に残留するので狩りには使えず、戦争に用いるための純粋に殺傷目的の猛毒であった。


 しかし、


 ――ぶもおおおおおおおおおおおお!!!!


 先を往く者が倒れても、バッファロータウロスの進軍は止まらない。

 むしろ死んだ者を足場に、それどころか矢避けの盾にして、砂地に水が染み込むようにエルフ村への距離を縮めていた。


 さらに、


「モオオオオオオオオオオッッ!!」


 一際巨大なバッファロータウロスが、手近な生きた仲間を掴み、村に向かって投げつけた。

 投げられた者は空中で四肢をばたつかせながら、(ごう)と風を貫き、一直線に防壁に激突。


 ドチャア!


 爆発四散し、血肉の大輪を咲かせた。

 一度では終わらない。

 二度、三度、四度……500キログラム超の生きた砲弾が防壁を赤く染め、防壁はそのたびにぐらぐらと根本から揺れた。逸れたものはエルフ村の中に着弾し、エルフたちの悲鳴が上がる。


(ひええ、仲間を投げつけるなんてとんでもないやつだな。これじゃ防壁がもたないぞ。でも、そろそろ頃合いだな。作戦開始だ!)


 キッポンは、地中に張り巡らしていた自分の身体から、ある種の溶解液を分泌した。それは、キッポンが分泌する硬化剤を素早く分解する効果を持つ。

 溶解液は地中に浸透し、硬化剤を分解、液化。

 そして、それが繋ぎ止めていたものが一気に崩壊を始める。



 ドドドドドドド

  ドドドドドドドド

   ドドドドドドドドドド!!



 轟音。大地が強烈に縦に揺れる。

 そしてバッファロータウロスの大群の後方、数千の巨体が森や土砂ごと地中に呑み込まれていった。


(よし、超落とし穴作戦、大成功だ!!)


 キッポンは一体何をしたのか。

 じつは沼地は大きなU字型になっており、バッファロータウロスの群れはその凹み部分に自然に誘導されるようになっていた。

 そして、そのU字の入口あたりの地下には、キッポンが百年を過ごした大洞窟がある。その周辺の地盤をアリの巣状に掘りまくり、隙間を硬化剤で固めていたのだ。

 そして、頃合いを見計らって硬化剤を溶かせば――


 ――ぶもおおおおおおおおおおおおッッ!?


 支えを失った洞窟が崩れ落ち、巨大な落とし穴に変貌するという寸法だ。

 バッファロータウロスの阿鼻叫喚を聞きながら、


(さらば、懐かしの我が故郷よ……)


 キッポンは思い出に心を馳せていた。

 何の味もしない苔、苦酸っぱい多足の虫、見た目はミミズに近い両生類――


(おっと、ぼーっとしている暇はないぞ。次の作戦だ!)


 あまり良い思い出はなかったので、すぐに頭から振り払った。

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