第13話 スライム、エルフ少女の名前を知る
しばらくして、またエルフ少女が戻ってきた。
猛ダッシュして、ずざざざーとスライディング土下座を決めている。
この世界に土下座なんて風習はないだろうし、誰かを待たせてしまったときの定番ジェスチャーってところかな?
「繝峨Α繝翫せキッポン。さきほどは螟ァ螟臥筏縺苓ィウ縺斐*縺?∪縺帙s縺ァ縺励◆……。どうか、どうか縺頑?繧翫r縺企式繧√¥縺?&縺?∪縺?……」
うん、なんだか腰が引けているし、解釈に間違いはなさそうだ。
さっきはいきなりどこかに行っちゃったもんね。
たぶん、「命の恩人になんてことを……」的なニュアンスだろう。
ってことは、「螟ア遉シ縺励∪縺励◆」は「失礼しました」みたいな意味かな。
次の「縺頑?繧翫r骼ョ繧√※縺上□縺輔>」は「気を悪くしないでくださいね」的なことだろう。
「キッポン」はさっき俺が日本人と名乗ったせいだろう。
名前と勘違いされて、それが訛ったのだ。
ってことは、「繝峨Α繝翫せ」は敬称っぽいな。
全文を訳すと、「キッポンさん、さきほどは失礼しました。気を悪くしないでくださいね」って感じか。
ふふふ、冴えてるな。
めきめき言葉がわかっていくぞ。
そんなこと、ちっとも気にしてないぜ!
と言いたいところだが、残念ながらまだ語彙が足りない。
なんて言えば伝わるかなあ。
あ、そうだ。今覚えた言葉を使えばいいんだ!
「オレ、失礼しました。気にしないでね(螟ァ螟臥筏縺苓ィウ縺斐*縺?∪縺帙s縺ァ縺励◆。縺頑?繧翫r縺企式繧√¥縺?&縺?∪縺?)」
本当はこちらこそ……と伝えたいが、その言葉はまだわからない。
代わりに、なるべく申し訳なさそうな表情を作ってみた。
すると、エルフ少女はびっくりした顔をして、それからぺこぺこと頭を下げた。
日本人の悲しい習性で、こちらもぺこぺこしてしまう。
そしてスライムの習性で、人間の上半身まで作ってしまった。
ぺこぺこ合戦がどれほど続いただろう。
キリがないので、話題を変えてみることにする。
そういえば、この子の名前をまだ知らなかったな。
名前も知らないのに親しくなるなんて無理ゲーだろう。
ええっと、「あなたの名前は何ですか?」はまだわからないなあ。
わかる単語でなんとかしてみよう。
自分が名乗って、相手の名前を聞くのが鉄板だけど、自分の名前が思い出せないんだよなあ。
なんか「キッポン」で定着してるっぽいし、それでいいか。
誤解を解くための言葉なんてむずかしそうだし。
「オレ、キッポン。キミ、ナニ?」
「!?」
リーフのぺこぺこが止まって、また表情が固まった。
うーん、発音が悪かったかな。繰り返してみよう。
「オレ、キッポン。キミ、ナニ? オレ、キッポン。キミ、ナニ? オレ、キッポン。キミ、ナニ? オレ、キッポン。キミ、ナニ? オレ、キッポン。キミ、ナニ? オレ、キッポン……」
「……あ、ああああっ、あたしはリーフ。リーフです……」
「オレ、キッポン! キミ、リーフ! オレ、キッポン! キミ、リーフ! キミ、リーフ! キミ、リーフ! キミ、リーフ!」
よし、名前が聞けたぞ!
うれしくなって、何度も連呼してしまった。
言葉もだいぶ聞き取れるようになってきたし、順調だなあ。
今後とも仲良くしてもらえるよう、なるべくちゃんとした挨拶をしよう。
「オレ、キッポン。コンゴトモ ヨロシク」
「よ、よろしくお願いします……」
触手を右手の形にして差し出すと、戸惑われながらも握り返された。
握手の風習はこちらにもあるのかな?
うふふ、これはもう友情成立と言っていいよね!




