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ココロの謎解き、ご用意します。  作者: ミラ
第一章 道が現れる解読謎解き

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4

 

 翌朝、天気予報通りの快晴が広がった。

 ゲストハウスのリビングの大窓の外には青空と、穏やかなアクアマリン色の海が広がっている。私はその青を見ながら革張りのソファに座り、瑞葉ちゃんおすすめの近所のパン屋で買ってきたパンを食べていた。テーブルの上に置いた大きな紙袋を見やる。

「買いすぎやな……」

 少し硬さのあるハードなパンに、いちじくのコンポートとクリームチーズを挟んである一品を噛む。甘さとほんのりとした塩気がいい塩梅だが、食べ応えがありすぎて私の顎にはなかなかの労働だ。コーヒーを含み、口の中で少し柔らかくしながら食べていると、後ろから声をかけられた。

「佳代さん、おはよう~」

「ああ、おはよう杏奈ちゃん。パン買いすぎたから、食べるか?」

「ええの? 今からコンビニ行こうと思ってたからラッキー、いただきまーす」

 爽やかなシャツワンピースを着てメイクが整った杏奈ちゃんは、明るく笑う。昨夜の涙はきちんとしまっている。大人の振る舞いだ。

 隣に座った杏奈ちゃんに、硬くてもう一つ食べられそうにない、ハード系のナッツパンを食べてもらった。

「ナッツゴリゴリ入ってるやん。うまー」

 杏奈ちゃんは硬さをものともせず、どんどん食べ進める。

「私には硬くて食べられへんわ。うらやましい」

「そっかぁ、残念やなぁ……じゃあ、佳代さんが困ってることは私が手伝うってことで! 硬いパン全部食べてあげるわ!」

「助かるわ」

 買いすぎたパンを杏奈ちゃんはパクパクと食べて、ふにゃりと微笑む。

「おいしい~ありがとう、佳代さん」

「こちらこそやで」

 私の困りごとを解消してもらって、感謝してくれるなんて、こちらこそラッキーだ。杏奈ちゃんは泣いたことを照れているのか、昨夜ほどお喋りをせずに二人で窓の外のアクアマリンを眺めながらパンを食べる。

 パンは一人で食べるより、おいしかった。

「おはようございます、佳代さん、杏奈さん」

 二人でまったりしていたら、ソファに心くんがやってきた。心くんはややまぶたが重そうだ。

「おはよう、心くん。寝不足か?」

「フクロウなんで、夜行性なんです」

「うまいこと言うやん」

 心くんが微笑み、私の隣に座る。

 私は杏奈ちゃんと心くんに挟まれて、両手に花だ。

「冗談です。普段は早寝ですよ。昨日は謎解きを作っていたので」

 夜な夜な謎解きを作っていたのかと思うと、寝不足なのは私たちのせいだと言えるだろう。心くんがうずうずしたように話し始める。

「お二人の準備が良ければ、謎解きを始めてもよろしいでしょうか」

「心くん、やる気満々やな」

 杏奈ちゃんが茶化して笑うと、彼はすみませんと頭をかいて照れる。

「ええよ、楽しみにしてたんや」

「うちも!」

 二人揃って快諾すると、心くんが嬉しそうに二枚の紙を取り出して私たちに一枚ずつ渡す。

 小さなノートくらいの大きさの紙には謎の図と数字、そして右下に「No.1」と書かれている。

 杏奈ちゃんのを覗くと、似たような紙で右下は「No.2」だ。

「No.1とNo.2の答えを足して、完成形の答えになります。昨夜の様子を見ていてお二人は相性が良さそうだったので、一緒に取り組んでもらう形にしたのですが……」

 心くんが心配そうに、大丈夫でしょうかと言いたげな視線を送るので、私は軽快に答える。

「私はもちろんええよ。でもまあ頭が固いから、杏奈ちゃんの足を引っ張るのは申し訳ないんやけどな」

「うちに任せて、佳代さん。さっき言うたやろ? 佳代さんの困りごとはうちが助けるって!」

 にかっと笑う杏奈ちゃんが、もうパンの恩を返しにきたので笑ってしまう。若者の順応は早い。心くんが安心したように頷いた。

「では、謎解きスタートです。ヒントはいくらでも出しますので聞いてください」

 杏奈ちゃんが首を傾げる。

「ヒントいくらでも出るの、なんで?」

「難しくて投げ出したくなってしまうのは本意ではないのです。僕が提供したいのは、解いて楽しい謎ですから」

 彼がやさしくそう言うと、じゃあ気楽にやってみようと意欲が湧く。

「おっけー! じゃあ、やってみよー!」

 杏奈ちゃんの明るい声を合図に、私たちはもらった紙を互いにじっくりと観察する。



挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)





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