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彼女はファザコンをこじらせている  作者: 花摘
帝国騒乱編
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副団長さん

 

 数日後、今度はラグ出勤に合わせて、一緒に王宮に向かった。馬車を用意するかと言われたが、馬の二人乗りをねだったのだ。


 気が重い話し合いの前ではあるが、ラグと出勤出来る事に、今はテンションが上がっている。

ドレスも、ルシアとカイルが熱心に打ち合わせて用意してくれた。またしても既製品のお手頃価格だが、フリルを二人が付けてくれたので、グッと可愛さがアップしている。

 ラグの懐に抱えられ、馬上からの景色を楽しんでいると、視界の端に、そのフリルが揺れるのが嬉しい。お喋りがしたいところだが、思った以上に上下の振動が激しくて、それは難しい。ラグは上手に喋っているので、私は頷いて相槌を打つだけだ。


 王宮内に入り、前回とは違う建物の前に着いた。ボコボコのブロックが他にも増して歪にくっついている、とても大きな建物だ。


「ここが、騎士団の棟だ。奥には演習場もある。」

 ほう、これが…

「ラグがいっぱい壊したところ?すごく大きいんだね!」

「大きな声で言わないように。ヨシュアが思い出し怒りをしかねん。」


 そう、陛下に呼び出されるまで、騎士団の執務室にいて良いって事になったのだ。

 私は…ここで、大事な使命を果たさねばならない…!ある意味…陛下との謁見よりも緊張する。


 執務室の扉を開け、中に入るラグの後ろに続く…、しかし急に立ち止まったラグの背中に追突した。

 ん?


 背中の脇から室内を覗き込むと、そこには、


 大きな石を抱いて正座をする数人の男と、それを無表情で見下ろしている、濃い金髪…黄金色の髪にそれ同じ色の瞳の、とても綺麗な顔のお兄さんがいた…。


 …

「ラグ、あれは何をしているの?」

「…石の重さを測るお仕事だ。」


 へえ…、嘘付け。

「じゃあ、邪魔しちゃいけないかな?」

「そうだな、他の場所へ案内しよう。」

 そそくさと、私を促すラグ。私に反対する理由はない。綺麗なお兄さんが誰だかは一瞬で悟ってしまったが、出来れば初対面は笑顔でご挨拶がしたい。


 足を廊下に踏み出した、その時、ジャラリ、という音ともに、低く響く美声が聞こえた。

「そう言わず…貴方の石もとってありますよ…。」


 あああ!ラグの首に鎖が!

「ラグ!え、わあ、引きずらないでぇ、ラグが死んじゃうぅ!」

「大丈夫ですよ、死にはしません。」


 能面のような表情で、ズルズルとラグを引っ張っていく。ラグにしがみついたら余計に首が締まってしまった。


「嘘だあ、やめてよぅ…。」

 泣きそうな顔で必死に、綺麗なお兄さんの足にしがみつくと、流石に困った顔をされた。


「あー!、副団長が女の子泣かしてる〜。」

「いっけないんだ〜。」

「うわ、ひっくわー。」

「鬼です、ここに鬼がいますよー!」


 あれ?先程まで沈痛表情で石を抱いていたはずの方々が、とってもいい顔で、ヤジを飛ばしておられる。


「貴様ら!さっき迄の反省の弁はどこへ行った!!」

 おう、ムチではなく棍棒でのお仕置きですか、何てマニアック…。


「あれ?ラグがいない。」

 ふと見ると、ラグがいた筈の場所には、千切れた鎖が転がっていた。


「ちっ、逃げやがったな…、王都の塀を壊した始末書も書かずに…!」

「ご、ごめんなさいい…。」

 ああ、日頃のお詫びに来るはずが、逃亡を補助してしまった。

 これでは心象最悪ではないか…。


 ふぅー、と長い息とともに、綺麗なお兄さん、…もとい、副団長さんが、怒りを抑えるように私に言った。

「貴女のせいではございません。」


 その声に少し安堵して副団長さんの顔色を窺おうとしたら、続けて出てきた言葉は、ひたすら怒りの声だった。

「悪いのは全て、あの男です。ことある毎に何かを破壊して、しかも中途半端にごまかそうとする!

 そもそもなぜ自ら飛び出すのか!

 隊員達も率先して真似する始末です!

 やらかしたなら、ここに戻り、私に一言報告すれば良いものを、そのまま帰るし!

 お前らも、何故止めん!昨日も全員一緒に帰りやがって!1人ぐらい良心のある奴はいないのか!

 どいつもこいつも!

 ー!

 ー!

 …」


 がっくり来てしまったらしい。…電池が切れたように、椅子に座り込んでしまった。


「本当にごめんなさい…。ラグレシオンが常日頃貴方にご厄介をかけていると聞いておりました。本日は、そのお詫びのご挨拶をしようと思っていた、のに…。」


 どうしてこうなった…。



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