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彼女はファザコンをこじらせている  作者: 花摘
帝国騒乱編
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ルシアの手紙

  

 渡された手紙はすでに開封されていた。折りたたまれた紙を広げると、懐かしい筆跡と文字が飛び込んできた。


 ……

 …

『ミレイア様、ご無事でいらっしゃるでしょうか。


 既に、お聞き及びかとは存じますが、先日、センドリア様が長き眠りに就かれました。

 ……覚悟をしてたものの、やはり耐え難い寂しさを感じております。ミレイア様も同様に、独りでお辛い思いをされているのではと、案じております。


 センドリア様の住まいの整理が終わりましたら、私もこの国を出たいと思うようになりました。残り少ない人生を、センドリア様が最後まで案じられておりました、ミレイア様のもとで過ごしたいと思うのです。


 もちろん、ミレイア様のお立場を考えますと、共に生活を送るのは難しいかと存じますので、サルージャ大司教様のつてを頼り、シンダルシア王国の王都に店を構える商会で働かせて頂く事になりました。


 王宮の側で暮らすことで、ミレイア様の様子が少しでも知れるのでは、と期待しております。

 できる事ならば、もう一度お会いしとうございます。もしも、可能でしたら、ノアール商会に繋ぎをつけていただけますよう、お願いいたします。


 どうか、あまりお気を落とされませぬよう、お身体にお気をつけてお過ごしくださいませ。


 ルシア』


 ……

 …


 ルシアの上品な筆跡で、ルシアらしい、優しく暖かな言葉で綴られていた。


 …会いたいなあ…


 …会えるかなあ…。


 ちらりと部屋にいる四人の顔色を伺う。

 今の時期に、私が帝国から来た人と会うというのは、不審感を抱くものも出るだろう。


 ラグは、王国に不利益がないと解れば協力してくれるだろう。陛下もその線で押せば、行けそうだ。まだ罪悪感がある顔をしている。


 おじいさん二人は…なにか見返りを要求されそうだな。



 読み終えたタイミングを見計らい、先ず陛下が口を開く。

「この手紙を発見したあと、直ぐにノアール商会に確認したところ、確かに、ルシアというご婦人が、雇われていた。」


 おお!ほんとにいるんだ!

 思わず顔を輝かせると、水を差すように宰相がノアール商会について説明する。


「ノアール商会は、帝国との交易品で財をなしている。ここ数年間で、商会に出入りした帝国人は少なくない。」

 そう言われると、怪しく思われるじゃないか。むう、となっていると、ラグが助けてくれる。

「しかし、今回の件で関わっている商会のリストに、ノアール商会の名は一切入っていなかったぞ。少なくともグスタフとは繋がっていない。」

「それが返って怪しいのではないか?帝国とのやり取りであるのに、老舗であるノアール商会が関わらんなど…。」


 ええい、ストップ!

「あの、誤解を恐れずに申し上げますと…、ノアール商会が繋がっているのは、『帝国』ではなく『センドリア上皇』です。」

 お祖父様の話で、その商会の名前は聞いたことがあった。


 シルバ公爵が、これに対し、なるほどと言う顔をする。

「帝国からの亡命者を、センドリア上皇が手配しており、その『つて』がノアール商会だったということですかな。」

「ええ…、『つて』は一つではないかとは思いますが、ほぼ確実かと思います。以前、魔道具を開発して権利をくれてやった、と言っていた記憶がございますので、見返りに帝国に居られなくなった方々を逃す手伝いをさせていた可能性は高いです。」


 宰相もこれには納得した様子を見せる。

「確かに、商会に出入りする人は、5年前のクーデターの直後が一番多くなっているようだな。ということは、商会にいる帝国人は、反皇帝派ということか?」

 いい事を聞いたという表情になっている。


「反皇帝…とまでは行きませんが、お父様に親しかったものや、現皇帝と反りが合わなかった、そのまま国にいたら殺されてしまうような方たちでした。」

 …私もその一人だね。


 突然、ラグの手が、私の頭に乗る。…別に落ち込んでないよ。


「しかし、そうすると逆の意味でミアが巻き込まれたりしないか?反皇帝の旗頭にされたりとか。」

 ラグは優しいな…。王国が上手く使う事も可能なのに。ほら、おじいさん二人は視線を反らした。


「そこは、私が気を付ければ大丈夫かとは思います。『ラズノール夫人』という今の立場では、祀り上げにくいと思いますし。ルシア自身は、けしてそれを望まないことは保証いたします。」

 きっぱりと宣言する。


「ふむ、そのルシアとやらを、呼び出して家で雇っちまうのが一番良さそうだな。」

 えええ、いいの?!

「そんな事できるの!?」

「俺はそうしたいところだ。昨夜会って話してきたから、特に問題ないと感じた。」

 ええええ!


「会ったの!?ルシアに!?」

 驚愕すると、ラグが微笑んだ。

「ああ、ミアの知らん別人だったら困るだろ?直接話すのが一番だからな。…会いたがってたぞ。」

 うん!私も会いたい!


 他の3人に熱い目線を送ると、シルバ公爵が面白そうに笑った。

「ほっほ、相変わらず腰が軽いな。もう会っているとは。…わしは別に構わんと思うが…ああ、『ラタの実』の謎解きが出来たら、ここはミレイア様の、望み通りにするのはどうじゃ?」

「まあ、反皇帝派の帝国人の居場所がわかっただけでも、中々良い情報じゃからな。それで良いぞ。」


 は?


「謎解き?」



 

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