小さな奥様
すぅすぅと小さな寝息が聞こえる。
「寝たようだな…」
旦那さまが、ミア様の髪を撫でながら言う。
「くくっ、まるで親父ですね。」
ロイが笑いを堪えきれないように言う。同感だ。これだけ懐かれればそりゃ可愛いでしょう。
「えらく旦那さまに懐いていますね。いつから知り合いだったのですか?」
「…これについては他言無用だが、一年くらい前から森でちょこちょこあっては、食料とかを渡していた。」
皇女が森で暮らすとは、王宮は何とも不思議な事が起きる場所らしい。
「なるほど、ずっと餌付けして懐かせて、とうとう家に連れて帰ってきたってことですね!」
ロイが簡単に納得するが…いいのかそんな認識で?
「もっと色々事情は混み合っているんだが…まあそんなところだ。」
いいのか。
この小さな奥様は、旦那様が望んで招き入れたということは、間違いないようだ。そうとなれば、やるべき事が沢山ある。
「バスタブと椅子は大至急、ミア様用に工夫しないといけませんね。」
「服ももっと買わないといけないよね!家に呼んで作らせますか?」
「…あまり外部の人間を関わらせたくない。村の行商人を通じて頼むようにしてくれ。くれぐれも他所もんを家に入れるようなことはするな。」
なるほど、やはりミア様には複雑な事情があるようだ。そして旦那さまは既にミア様を身内として守ろうとしている。…ならば私も、そのように動こう。
「わかりました、お任せください」




