お久しぶりです、国王陛下
「何事!?」
ここ2年ほど音沙汰がなかった、離宮への訪問者の気配だ。あの音は、恐らく塞がれていた門を吹き飛ばした音だろう。一体誰が来たというのか。
大きな破壊音を聞いた私は、急いで離宮の方へ走った。取り敢えず中には入らずに、塀の穴から中の様子を伺う。心臓がヤバい音を立ている。
とうとう確実に私を抹殺したくて来たのなら、逃げなければいけないが、何か情勢が動き、私を呼びに来ただけと言うならば、離宮にいないのは不味い。
どっちだ!
聞こえてくる声に耳を澄ませる。複数の男の人の声…?
「何だこの惨状は!?」
「いつからこんなことに!?」
「ミレイア王妃!」
「陛下!建物内を捜索していますが、未だ王妃は見つかっておりません!」
後宮の使用人たちの仲間では無いようだが…、「陛下」って…。
陛下がいると言うことは、暗殺の可能性は低い…かな?国王が部下をたくさん連れて来ているのならば、殺されるとしても、連行後、処刑になるなずだ。…それも嫌だけど。
生命の危機の可能性はまだあるが、不在にしているのは確実に問題になる。意を決して穴をくぐり、庭の藪から更に出て行くタイミングを図りつつ様子を伺う。
捜索しているのは兵士のようだ。自分の格好を見直し、ローブを慌てて脱ぐ。今日は幸いドレスズボンではなく、未改造のドレスだが、芋掘り後で土まみれだ。
兵士達が、庭の捜索に回ってきた。
「大変だ!庭に骨の山が!」
「まさか…王妃はもう…」
いや、それ鳥とか獣の骨!!
あー、でもどうやって言い訳しよう。離宮に迷い込んできたので美味しく戴きました!とか?
ああ、片付けておけばよかった…!
しかし、庭まで来てしまったなら、今さらどうしようもない。でも、ひょっこり出ていくの恥ずかしいな…。よし、死んだふりして見つけてもらおう。
噴水の影うつ伏せになって、待つこと10分…長くてちょっと寝ちゃったよ。
「おい!大変だ!」
「ミレイア王妃!大丈夫ですか?!」
「息はあるぞ!」
「しかし衰弱が激しい!痩せ細っているぞ!」
いや…さっき芋を食べたばかりです。
「魔力反応が薄い!魔力切れか?」
いや、元からこんなもんです。…くすん。
バシャッ
水かけられた!
「ぶっ!」
「ああ、良かった、目を覚ましました!」
はいはい、覚ましましたよ。うおっ、何処へ運ぶつもりだ。
兵士がいきなり、私を抱え上げた。扱いは優しいが、レディに対して失礼だぞ!ジタバタするが、なだめるように兵士が声をかけて来る。
「落ち着いてください、あなたに危害は加えません、陛下の所へお連れします。」
いやだあ!そいつが多分、私が痩せ細った元凶だから!!
屈強な兵士は、私の抵抗をものともせず、離宮内に連れて行った。
「陛下、王妃を発見いたしました」
ソファに優しく降ろされる。さらには寝かせられそうになったので、何とか起き上がり座ろうとするが、なかなか起き上がれない。うおっ、このソファ久しぶりだけど、フカフカすぎて沈み込む!
よたよたと起き上がり、姿勢を整えて正面を見ると、お爺ちゃんとオジさんが正面に立っていた。
あれ?どっちが陛下だっけ?




