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彼女はファザコンをこじらせている  作者: 花摘
皇女編
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お祖父様とのお勉強



「そんな事も理解できぬのか。其の方は」

 お祖父様が駄目出しのため息をつく。


「申し訳ありません、計算し直します。」

 叱られるのにもすっかり慣れしまった私は、大して落ち込むこともなく課題をやり直し始める。


 …あれから私は、この聖地にあるお祖父様の住まいの中から一歩も出ずに、ひたすら知識を詰め込まれている。

 今のところ聖地にまで足を踏み入れるほどのリスクを犯してまで、私を捕まえようとは考えていないようで、叔父は国内の貴族の制圧に勤しんでいるそうだ。


 但し、今の平和は恐らく一時的なものだ。

 お祖父様に万一のことがあったり、叔父がお祖父様を凌ぐ程の権力を持つようになれば、私は、あっという間に引きずり出されて、殺されるか、政治利用されるかだろう。


 叔父はお父様が大嫌いだった。お父様に関わる人々を次々に粛清していると聞く。

 お祖父様が手を回して他国に逃したりしているそうだが、あまり派手にやって叔父にバレると、政権介入したと言われ、大司教の地位から降ろされる可能性がある。

 私を匿っているのですらすでにギリギリのラインである。


 何の力もない私は、今はただひたすら、お祖父様の庇護を失った時に備えている。


 読み書き計算から始まり、大陸中の言語や地理、政治経済、文化に礼儀作法に至るまで、必要になりそうな物を集中して叩き込まれている。

 あとは、身を守るために身体を鍛えたり魔法の扱い方、主にコントロールの方法をみっちり行っている。


 私のためにやってくださっている…のはわかる…。

 ものすごくわかる…。

 でもしんどい!5歳の少女に耐えられる勉強量じゃないよ!


 訴えたいが、


「死にたくなければやれ」


 見も蓋もない事実を述べられ、シクシクと机に向かう。


 前世の25年分の貯金がなければ、とっくについて行けなくなっていただろう。


 他国の言語については、幸い頭の柔らかさは年並のようで、お祖父様が日替わりで違う言葉をしゃべることで覚えていった。お祖父様すげえ。

 ただ、同時に覚えたせいでごちゃまぜになってしまうのはご愛嬌だ。ご愛嬌だよね…?


 地理や政治経済は、受験勉強だと思えば何とか…なるかな。

 地理については、比較的地球より単純で助かった。国は大陸中には3つしかない。南北に3つ並んでる感じで、一番南がガンガルド共和国。熱帯の国で魔物という、火を吹いたりするファンタジーな生き物だらけで、人間の活動圏は少ないらしい。


 その隣、シンダルシア王国は、大陸の真ん中にある。魔力が多い人が多く、豊かな国らしい。

 私も公務で、何度かシンダルシア王国の人見たが、青や赤や金などの鮮やかな髪色をした人たちが多くて、目がチカチカした。


 一番北にあるのが、このバルファルク帝国だ。寒冷な気候で、一年の半分は雪が積もっている。魔力が少ない人がほとんどだが、その分機械が発達している。動力のほとんどは魔力だが、少ない魔力で工夫してきた歴史がある。

 見た目の特徴としては、隣国に比べて皆色素が薄い傾向がある。

 淡い茶色の髪やピンクや水色の髪色で、肌も白い。瞳は血液の色が出てしまうため、大体赤みがかった色の人が多い。

 ちなみに私は、ほとんど白に近い水色で、目は紫がかった赤だ。


 この大陸の外の島国はどこも閉鎖的で、国交はほぼないという。


 政治経済については、お父様の後をついて回っていたので素地はできていたが、

 近頃は、有力貴族や議会との関係、領地なども叔父のおかげで目まぐるしく変化して行くのだ。昨日覚えた伯爵が死に、子爵だった人が一週間後に侯爵になっていたりする。


 試験勉強だったら発狂していたね。

 身近で切実な問題だから覚えるけど。



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