冷却魔法石
実験が上手く行っているのに気を良くして、夕飯づくりに取り掛かる。ヤドカリ入を入れて煮立たせている鍋からは良い出汁の匂いがしている。
ふむ、今夜も素敵な夕飯になりそうだ。採集した野草をたっぷりと鍋に入れて、お玉でかき混ぜる。肉も今日はひと工夫しちゃおうかしら。
鍋作りのために削った岩の所へ行き、鹿の肉を取り出す。凍らせて保存してあるので普段ならゆっくり解凍させるところだが、今日はその状態のまま風魔法でミンチにする。
…思ったより回りに飛び散ってしまったが、良しとしよう。
コネコネして、お団子にする。ジャーン!鹿肉のつくね!山盛り作って鍋へ投入する。
ふっふっふ。料理が日々進化しているぞ!
得意になって、木製お玉でかき混ぜていると、…あれ?つくねがボロボロになってきた。…繋ぎがないとやっぱり駄目なのか?もしくは、かき混ぜすぎた?
…ま、いっか!味は変わんないよね!
塩で味を整えて完成だ!
うん!美味しい!!野草の苦味が出汁でごまかされている気がする!
肉のミンチも美味しい…。今度ハンバーグ作ろ。
デザートに蜂蜜をチビッとなめる。うん幸せ。
冷却魔法の実験経過を観察したいので少し仮眠をとって、数時間後に起きるようにした。お祖父様の目覚まし魔法とは違ってちょっと小さい爆発が起きるだけのものだ。音魔法がうまく扱えればいいのだが、どうも上手くできない。
2時間ごとくらいに経過を見つつ、次の日を迎える。おおよそ傾向は掴めてきた。
今日は、河原にいかなくてはいけない。
鍋の残りをかき込み、鹿肉を背中に背負って出発する。
お昼前には、何度も来たことのある、大きな河の辺りについた。
ワニのトラウマがあるため、水から離れた河原で石を採取する。
実験で得られた結果では、石が一番いい感じの冷たさを長時間維持できていた。
さらに、石の中でも、砂岩よりは花崗岩、それも石英などの大きめの結晶が多い石ほど持続時間が長かったのだ。ここから推測すると、恐らく密度の高いものほど持続時間が長いのでは?と考えたのだ。花崗岩のものは、朝になってもまだ冷え続けていた。
だから出来るだけ、それっぽい石を探す。大きさも重要だ。水筒に絶対入る大きさで、尚かつ誤飲するほど小さいものは駄目。小さすぎると水との接触面も小さいため冷えるのも遅くなってしまう。
まん丸より平べったいやつの方が刻みやすいよね…。削れれば良いけど、狙っている石は硬いほどいいので、ちょっと厄介だ。口当たりの悪くなさそうな、おはじきっぽい石を狙って探す。
急がなければ完成する前に夜が来てしまう。取り敢えず良さげなものを手当たり次第に袋に詰めて、拠点に戻ることにした。
戻った時には既に日が暮れ始めていた。大急ぎで火をおこし、鍋でお湯を沸かす。
そこに、きれいに洗った石をジャバジャバと入れる。飲水に使っても良いように煮沸するためだ。
ついでに鍋の脇で肉を焼き、腹ごしらえをする。
煮沸し終わった石を冷まして、早速作りかかる。
うん…、実験のときも思ったけど、硬い石ほど紋を刻むのに時間がかかる。
布や紙ならば、すっと染み込む感じなのが、ぐーっと圧をかけなければ刻めない感じがするのだ。力を込めて刻んだ分、魔力が留まりやすいのかな?
お祖父様がくれた魔法石はきれいな宝石のような不純物がほとんどないものだったから、そういう物のがきっと魔法と相性がいい気がする。
20個ほど石を拾ってきたが、12個刻んだところで力が尽きた。
その中でさらに厳選して5個をラグに渡すことにする。他のはデコボコしていたりちょっと大きかったり小さかったりと、渡すのに躊躇するものだったのだ。
…喜んでもらえるようだったら今度はもっと時間をかけて探しておこう。
無事、ラグが来る前に完成した…。
ホッとしたせいか、思わずウトウトする。




