冷却魔法実験
さて、冷たい飲み物を飲んでもらう為の道具作ろう。
まずは器作りかな?土から作るのは大変だから、取り敢えず木を削って作ってみる。昨日の編み出した回転風魔法が、なかなか良い具合だ。面白いように好きな形に削れ、出来上がりの表面もなめらかだ。
練習ついでに、昨夜は魔力切れで作れなかった、木の器をいくつか作る。
慣れて来たところで水筒に挑戦するが、細長い筒の中をくり抜くには、回転魔法の範囲の調節が、なかなか難しかった。
いくつか出来上がったが、かなり不恰好な上耐久性に問題がありそうだ。何より素人には蓋が難しい。
栓をつくるのが最も簡単そうだが、それではまるで江戸時代の竹筒だよ…。
シンダルシア王国は、魔力の豊富な人が多く、食べていくのあまり困らない分、帝国より豊かな暮らしをしている人が多い。
そのため、身の回りの生活品や調度品は凝ったものが多く、技術も高い。騎士団にいるような人が持つ水筒と考えると、こんなレベルのものはとても渡せない。
きっとちゃんとしたものを持っているよね…
がっくりして、水筒づくりは諦める。ラグが持っている水筒がどんな物でも、冷却効果を発揮出来るような付属品を作ろう。そうすれば人にも譲ったり売ったりしやすいしね!
試しに、その辺りにあった木片に、『液体に触れる』⇒『液体を冷やす』という魔法紋を刻んで、水を入れた不格好な水筒の中に浮かべた。
しばらく待ってから飲んでみると、ちゃんと冷えていた。
うん。良い感じだ。木片だから浮いてしまってちょっと飲みにくいし、長く水にも入れておけないから、素材は変えて方がいいわね…。
手近な素材で色々試してみることにした。
今まで採った骨や、その辺りににある石、河原で拾ったきれいな石にも刻む。出来上がったら水筒や木の器も使って、それぞれに沈める。
…冷える速度に違いがあるな。
中にはピシピシと氷始めたものもある。一部の獣の骨はやっぱり、何か威力を増す効果があるみたいだ。見た目は地球の動物とほとんど変わらないんだけどなあ…。まあ、人が魔法を使える時点で何があってもおかしくないか。
あっさり納得して考えるのをやめる。
器を冷たい順に並べ替えてから、しばらく置いておくことにした。効果の持続時間を調べるためにも、数時間様子を見よう。
2つある太陽が近い位置にあるので、お昼を過ぎた頃合いか…。
魔力を節約して、鹿肉の切れ端を焼くだけの昼飯にする。焼くだけと言っても、塩があるから十分美味しいちゃんとしたご飯だ。もう味無しの肉には戻れそうもない…。
素早く食べ終えると、周辺で採集を始める。
春はあっという間に終わってしまうから、今のうちしか取れないハーブ類をせっせと摘み取っていく。
合わせて夜ご飯の鍋に入れられそうな、葉っぱも採る。生ではとても食べられなかったけど、煮たら美味しいものもあるかも知れない。地球の菜の花っぽいものやごぼうっぽいものもあった。
時々、冷やしている水の様子を見ながらも、拠点から少し離れた場所まで足を伸ばして採集しまくった。
途中、跨げるほどの、小さな沢を見つけた。魚がいないかと期待したが、浅すぎて住んではいないようだ。
沢ガニとタニシが合体したような、…沢ヤドカリ的なものがいたので、3匹捕まえた。
出汁が取れるかもしれない!
もそもそと動く沢ヤドカリ(命名)が邪魔なため、採集を終わりにして、拠点に戻った。
沢ヤドカリを鍋に入れ、水をたっぷりと入れてから火にかける。
いい出汁が出るといいな!
鍋をことことさせている間に、冷却魔法の様子を見る。
木片で作ったのもうぬるくなっている…。込めた魔力は他のものと一緒なんだけど、もう魔力紋に魔力がないみたい。
鹿の角でつくったのものも、もうほとんど効果がないみたいだ。冷え方はいい感じだったんだけどな…。
狼の歯に刻んだやつは、入れたばっかりの時は凍ってしまって驚いたが、今は普通に冷たいだけだ。
今もまだカチンコチンに凍っているやつは、確か結構前に捕まえた鳥の骨だ。白鳥か鷺みたいな大きな白い鳥だった。あんまり強くはなかったけどなあ?
今のところ有力候補は、河原で拾った石だ。スベスベで刻みやすい石をいくつか選んだのだが、どれも順調に冷たさを維持している。
よしよし。




