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彼女はファザコンをこじらせている  作者: 花摘
王妃編
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王宮議会

 

「ラグレシアン騎士団長が、だだいま到着いたしました。」


 扉を守る隊士が俺の到着を告げると、ドアが開けられる。

 大臣たちが勢揃いしており、その奥にこの国の国王であり、友でもある、ジークフリートが手を上げていた。

 着席を促されたため、末席に座る。


「遅かったな、騎士団長。執務室にはいなかったのですかな?相変わらず腰が軽いと見える。」

 外務を担当する、飄々とした雰囲気のシルバ公爵が揶揄してくる。


「王都の外れに魔物が出たとの報告があり、駆けつけておりました。お呼びと聞き、参上しましたが?」

 こっちは忙しいんだよ。早く要件を言え。


「魔物とな王都の近くか、危なくないのか?」

 今度は財政担当のマルク侯爵が、普段から悪い顔色をさらに青白くさせて言う。

「被害はありません。やや凶暴化した獣といった程度で、最近増えているタイプです。駆けつけたときには住民が倒したあとでした。」

「ふむ…やはり王都周辺まで驚異が迫っているのようですな。騎士団長を呼んだのは、他でもない、その最近増えている魔物の報告の件についてです。」

 ふくふくとした、たぬき顔の内政担当大臣であるクラーク公爵が、呼んだ理由を話し始めた。


「今現在の魔物の活性化について騎士団長はどう考えていますか?最前線で対応している方の意見を聞きたいのです。」


 なるほど…どの程度の対応が必要か議論していたが、意見がまとまらなかったので、呼ばれたといったところか。

 ラグレシオンは騎士団長ではあるが、軍部のトップは国王が担っているため、大臣の集まる議会には普段は参加しない。こうしてたまに意見を求められるだけである。


「報告書で上げた通り、この国の各地で報告されている魔物は、国内の南の辺境やガンガルド共和国で見られるような明らかな魔物と違い、そのあたりの動物が変化して凶暴化している様な感じです。魔法で攻撃してくることはなく、革が異様に硬かったり、知能が高かったりなどの変化が見られます。騎士団の間では、魔物化した動物、というような見方をしています。

 …付け加えるならば、ここ最近は、発見される数は増えています。」


 これ聞くと、大臣たちは揃ってため息を吐いた。

「早急に対策せねばならんということだな…、しかももっとひどくなることを想定しながら各集落区の防御を固めなければならん」

 宰相が、頭が痛そうに言う。


「場合によっては、ガンガルド共和国のように、すべての街を城壁で囲まなければ、人が生きていけない環境になるやもしれぬな。」

 常に最悪を想定しなければならない陛下に、俺は推測を付け加える。

「何となくですが、魔物化は暑いときのが活性化する気がします。南のガンガルドに近い方に魔物が多いからというだけでなく、昨年の夏に魔物が問題になってから、国中情報を集めたんです。そしたら冬の間は目撃情報が減って、この春に、またちょこちょこ増えてきたようなんです。」

「冬眠したとかではないのか?」

「いえ、冬眠ならば秋は減らないはずですが、気温が下がるのと同じように秋のうちに徐々に報告が減ったのです。」

「それが本当ならば、まずいではないか。これから夏に向かう。」

 クラーク公爵が顔を曇らせる。彼の領地は南の方だから余計心配だろう。

 大臣や宰相達も、対応に頭を悩ませている。

「民に大々的に注意喚起をしたほうが良いだろうな…。」

「陛下、それでは不安を余計に煽ることになりませんか?ただでさえ北の国境線は不安定な状況で、騎士団がさけるかわからないのです。」

「しかし、噂はすでに広まっているのに、黙っていては余計に不安を煽る。それに、魔物の種類によっては住民でも倒せるのだろう?用心させて対応に当たらせれば被害も減るだろう。」

 俺もそっちに賛成だ。南の辺境では、魔物の数が多すぎて、よっぽどの大物以外は地元住民が対応している。


「これが自然現象ならば、長期戦で対応策を考えるしかないですね。むしろ帝国との問題を早目に片付けられれば…。」

 そうなんだよな…俺も今は王都にいるが、隊士たちは南と北に分散して、交代準備や物資輸送でてんてこ舞いだ。これで南に魔物の群れが出て、北で開戦となったら目も当てられない。


「帝国とは今のところ、表面上は和平の状態だ。こちらから仕掛けるわけには行かない。」

 陛下がそう言うと、大臣達は日頃からむしゃくしゃしているのか揃って反論した。

「何が和平ですか!山賊を装って国境を超えて来ているのは明らかです!」

「関税を頻繁に上げたり、ガンガルドからの魔石に我が国の関税はつけるなと言って来たり、喧嘩を売ってるとしか思えません!」

「そうです!国内で起きている誘拐事件に帝国の人間が関わっているという噂もあります!」

「なんの意見もしなければ図に乗る一方ですよ!」

 全員に噛みつかれ、陛下がこっちを見てくる。この面子相手に俺に助けを求められても困るので、言いたいことだけ言って、さっさと立ち去ることにした。


「俺としては、人員を増やすか、もっと良い移動手段を確保するかを希望します。…方針が決まったらご指示をお願いします。」







議会構成員は宰相を含む大臣5人と、国王が最もトップのメンバー。

議題の重要度によって、人数が増える。


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