蜂蜜採集対策
なぜラグは、何も聞かないのだろう。何で親切にしてくれるのだろう。そもそも彼は、本当にただの騎士なのかしら。
いくつも疑問は湧くのだが…
…
……
さて、蜂蜜採集グッズを作ろう♪
‥帝国貴族界で鍛えた危機管理能力は、獣としか触れ合ってこなかった生活によって、すっかりどこかに行ってしまったのであった。
長時間ラグとお話をしてしまったので、夜がすでに明け始めている。寝ないで離宮に戻ってしまおうと、焚き火の片付けをして移動を始めた。
離宮についた頃にはすっかり日も昇っていた。
テンションを維持したまま蜂蜜採集用の服の作成を始める。
基本ベースはドレスズボンだ。今回はセパレートタイプではなく、つながったままのものを使用する。
ちなみに、ドレスズボン・セパレートタイプが出来たのは、話せば長い訳がある…いや、お手洗いに間に合わなくなっただけです、ごめんなさい。…このことは墓場まで持っていく。
…
大きい靴下と、手袋を作り蜂が入り込まないように紐で結びつけることにする。
顔から首にかけては、ラグに言われたとおり、ローブのフードの上から巻きつけることにした。
ドレスの袖のあたりの布が、薄いシルクでできており、針を通してしまうのでは?と不安になったので、魔法紋を施して硬くしてみた。
…
固くしすぎた…
ドレスが固まったら中身も固まった。
さあどうだ!
と、両腕を目の前に伸ばした状態のまま、ドレスに拘束された。
またやらかしましたわ…てへっ
…小さいお祖父様にテヘペロは通じないようだ。
幸い2時間ほどで魔法が切れ動けるようになった。
尿意はギリギリで耐えられた。
うん…今度は間に合ったよ!お祖父様!
これは使えませんね…。硬さを弱めても動きにくいのだ。ローブにかけたときはあまり気にならなかったのだが。他のやり方を考えねば。
うーん。固くならないでも、針が体に刺さらない程度に防御できれば良いのだけれど。
魔法で物理的に針に対抗できるものは…
火は私が燃えちゃう。
水は…溺れる気がする。
土は…さっきの二の舞いになりそう。
風…空気ならば包まれていても平気そうだけれど、針を防げるだろうか?
高速で動かせば蜂は近づけないかもしれない。
ちょっと試してみた。
ちゃんと脱いでからやりましたよ!
『服の周囲を風が高速回転する』でやってみたら、
…
服が宙に浮いて錐揉みになっています。
着ていなくて良かったわ~。私、また一つ賢くなりました。
錐揉みになりながら部屋の調度品をふっ飛ばしまくるドレスを抑え込んで、どうにか紋を無効化した。
威力はもうちょっと抑えよう。記号の長さを調節して
ちょっっと考えてから、
『服から半径1ルータの距離のところに厚さ3セルの高速回転する風の幕を作る』という意味の記号を書き込んだ。
飛んでいかないように、庭の女神像にドレスを着せてから、起動した。
「うわっ」
辺りの土埃が舞い上がる。
薄目を開けて周囲を伺うと、風の幕に囲まれていた。
成功だ!!威力もいい感じ!外に弾かれて内側には飛んできていないから回転の調整もうまく行ったわ!
恐る恐る幕に触れてみると、軽く弾かれたが、怪我はしていない。
膜の厚さが指定したよりも薄いようだが、色々詰め込んだせいで相殺されてしまったのか。起動時間も10分くらいしか持たないし、消費魔力が激しいようだ。
まあ、今回はこれでもなんとかなるだろう!
これで…いけるわ!蜂蜜を採りに!
力強く拳を握った私は、
…
いい笑顔のままその場で気絶した。
戻ってからまる一日経った今。何も食べずに魔力も使って2徹したため限界を迎えたのであった…。
1セル≒1.3cm
1ルータ≒1.3m
(魔法紋用の記号)
通常の会話はメートル法を用います。




