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彼女はファザコンをこじらせている  作者: 花摘
王妃編
23/250

2本足の生き物

 

 今日は川を遡り、山の方へ向かって登っている。

 間もなく冬が来る。最近は離宮へ戻らずに、夜森で過ごすこともあるが、冬は流石に厳しいので、今を逃すと、暫くは遠出ができないのである。

あまり森深くに分け入ると遭難の恐れがあるから、川沿い行けるところまで行ってみようと思う。


 ふと川の向こうに並行して走る狼の群れがあった。


 ちっまた奴等か。

 30頭ほどの大きな群れで、よだれを垂らしてこっちをこっちを横目で見ている。


 狙われてるな。

 川幅が広いのですぐには接触しなそうだが、川幅が狭いところになったり、立ち止まったりすればやってきてしまうだろう。

奴等もそれを狙っているようだ。


…あれを使ってみるか。


 最近考案した新しい武器を、スプーンのように変形させたモップの柄の先に乗せ、遠心力を使い川の向こうに放おった。ラクロスのあれの用量でやると結構飛ぶんだよね。

 

 投げた瞬間に身を伏せて衝撃に備える。


 ドンッ

 という衝撃とともに、あたりに砂埃が飛び散った。

 衝撃が収まった後、そっと身を起こして辺りを見渡すと、向こう岸にクレーターと狼の残骸と思われるものが散らばっていた…。


 …

 これは‥やばいな。

 ちょっとやりすぎたかもしれない、と反省する。


 もともとは攻撃の種類を増やそうと、その辺の石に、風魔法と火魔法を組み込み、対象に当たったら爆発する、というものだった。近づくと逃げてしまう、小さめの草食動物などは、これで遠距離から狙い、気絶させることができたので、非常に重宝した。

 獣の体が吹っ飛ぶような威力は、始めはなかったのだ。

 ある日、ふと獣の歯や骨に刻んで投げてみようと考えてやってみたら、威力が上がったことに気付いた。獣の種類によって、全く威力のないものもあったので、面白くなっていろいろな種類で実験したところ、強い獣ほど大規模な爆発になる傾向があることに気づいた。

 狼のものでやったときは木が1本崩れ、あわや木の枝や小石であちこち怪我をした。

 これ以上の威力は自分の身が危険になると気付き、冬に倒した熊の歯で作ったものは使わないで、今の今まで取っておいたのだ。

 これくらい開けた場所なら大丈夫かと使ってみたが…

 やっぱり危ないものだった。予想通りよ、お祖父様。うんうんと納得する。


 ポッカリと空いた森の空間から目をそらし、先に進む。

 うち漏らした狼も、流石にもう追ってこないだろう。


 数時間歩いたところで岩場が多い場所になった。日暮れも近いため、ここで野宿することにした。焚き火をおこし、歩きつつとったカニっぽいやつを焼く。

 歩き方は蜘蛛なのだが…水辺の甲殻類ならば、君はカニだよな?蜘蛛じゃないよな?と、言い聞かせてから、焼いた。

 夏の、怪我をしたしんどい時期に芋虫やバッタの類は食べざる得なかったが、蜘蛛は無理。私の中ではそこがアウトラインだ。

 仕上げに塩気の強い植物を乾燥させたものを振りかけ頂く。ああ美味しい。君は…実は海老だね!?

…美味しいものを口に入れた瞬間は生きていてよかったと感じる。


 焚き火のそばで毛布にくるまり、体を休ませる。

熟睡するような真似はしない。目は閉じていてもなにかの気配があれば起きれるようにしている。多分おきれる、と思う。

 帝国にいる頃から、夜の襲撃は日常茶飯事だったこともあって、眠りは浅いのだが、森暮らしを始めてからは、感覚が余計鋭敏になっている気がする。


 眠りについて暫くたった頃、不意に目が冷めた。辺りの気配を探ると、何かに見られている気がした。


 獣がこちらの様子を見ている時の様な感覚だ。


 薪焚べ、火を大きくする。用心して襲ってこないならばそれで良いが、と気配のする方角に気を張っていた。

 

 すると、

 ガサッ

 という音を立て、森の中から、真っ黒なシルエットが現れた。



 それは、どう見ても二本足で立つ生き物だった。


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