第45話:旭日の審判?
「……。えっ? スキル……? 真価……解放……? 何、これ……っ」
倒れた俺の隣で、ハヤトが混乱した声を上げた。
奴の頭上に黄金の幾何学模様が展開される。魔獣がトドメを刺そうと
跳躍したが、不可視の衝撃波にゴミのように弾き飛ばされた。
「……。サンライズ……レーザー……? ……。何、その名前」
ハヤトが脳内に浮かんだ言葉を無意識に呟いた、その瞬間だ。
東の地平線から朝日が差し込み、街中の空が黄金色に染まった。
一つ一つのパンの表面が、鏡面のように磨き上げられていく。
十回、百回どころではない。数千万のパンの間を光が巡り、
差し込む朝日のエネルギーが幾何級数的に増幅、圧縮されていく。
空を巡る光に目を奪われていたが、気が付くとハヤトの手元に、
……。メロンパンに銃身が突き刺さったような、異様な銃が現れた。
(……。そうか。……。ここで、照準を合わせるのか。
……。この引き金が、……トリガーなんだな……っ!)
ハヤトは腹を括ったように呟くと、震える手でその銃を構えた。
銃身の横に付いた、レンズのように透き通ったメロンパンを覗き込む。
……。パンの内部に浮かぶ照準が、空中で体勢を立て直そうとする
……。魔獣の姿を捉えた。レンズが赤く光り、標的をロックする。
空を巡る膨大な光が、銃口へと吸い込まれるように一気に集束し、
……。王宮広場の空間が、凄まじい熱量で歪み始めた。
「……。もう、どうにでもなれッ!! ……。撃てええええッ!!!」
ハヤトが金属の感触を指先に感じながら、引き金を引き絞った。
ドォォォォォォンッ!!!
天を突く極太の光の奔流が、空中の魔獣を目掛けて撃ち放たれた。
理外の物理エネルギーによって、魔獣の肉体が塵一つ残さず
粉砕されていく。……。俺は激痛を忘れ、呆然と呟いた。
「……。おい、ハヤト。……。
……。……。お前のパン、……もう魔法の範疇を超えてるぞ」
光が収まった後、王都の空に広がっていた不気味な気配は霧散し、
……。絶望を振りまいた魔獣は、パンの輝きの中に消え去っていた。




