第44話:夜明けの処刑?
「……。ガハッ……! ……。ア、アア……ッ!」
渾身の拳を片手で受け止められ、俺の肉体に魔獣の蹴りがめり込んだ。
全召喚獣の力を宿した肉体が、紙細工のように容易く折れ、
……。瓦礫の山へと叩きつけられた。
「……。レオンさん! やめて、もうやめてよ……っ!」
離れた場所で見ていろと言ったハヤトの悲鳴が聞こえる。……。
……。禁忌の術式が暴走し、俺の肉体を内側から崩壊させていた。
「――ギィィッ!」
魔獣がゆっくりと歩み寄り、這いつくばる俺の頭を無造作に踏み抜く。
石畳が砕け、俺の意識が激痛と共に白濁していく。
魔獣は愉悦に目を細め、その鋭い爪を高く振り上げた。
東の空が白く、うっすらと白み始めている。数時間に及ぶ死闘の末、
ようやく夜が明けようとしていたが、俺に抗う力は残っていない。
「――死ね」
魔獣の口から、掠れた人の言葉が漏れた気がした。
振り下ろされる死の爪。取り返しのつかない最後の一撃。……。
無防備な俺の胸元を目掛けて、その爪が音もなく放たれた。
「……。レオンさんに、……触るなああああッ!!!」
その時。死を覚悟した俺の眼前に、小さな背中が割り込んできた。
ハヤトが、涙でぐちゃぐちゃの顔のまま全力で駆け寄っていた。
「……。お願い、……守ってっ! 『メロンパン・バリケード』!!」
ハヤトが突き出した両手の先に、巨大な黄金の壁が出現する。
だが、魔獣の圧倒的な爪は、その防壁を紙のように貫いた。
「……。あ、……っ」
貫通した爪が、防壁を突き破って俺の胸元を深く切り裂く。
黄金の防壁が砕け散り、俺たちの身体が衝撃で後ろへ吹き飛ばされた。
血を吐き、激痛に顔を歪める俺の隣で、
……。ハヤトが何かの声に応えるように、すっと顔を上げた。
《――条件が揃いました》




