第41話:総力戦の号砲?
「……。よし。ハヤト、精霊が最後の一人の脱出を告げたぞ」
俺は王都全域に放っていた風の精霊たちを消還した。
避難民の列は、ようやく泥の触手が届かぬ距離まで離れたようだ。
これでようやく、街への被害を度外視した戦いができる。
その瞬間、外周の魔物を吸い尽くした泥の核が不気味な紫に輝き、
王都の半分を飲み込むほどの巨大な『泥の巨神』へと変貌した。
「……。レオンさん、これ、本当に勝てるの……?」
ハヤトが震える声で俺の袖を掴んだ。その瞳には、
山のごとき巨躯を見上げる絶望が浮かんでいる。
「……。さっきの魔物たちみたいに、召喚獣のみんなも、
……。あの泥に刺されたら……干からびちゃうんじゃ……っ」
「……。ハヤト。……。
……。俺の召喚獣を、そこらの野良魔物と一緒にしてもらっては困る」
俺は瑞鳥の背で立ち上がり、最大級の魔法陣を展開した。
黄金の焔龍、銀嶺のフェンリル、そして冷静に呪文を紡ぐベル。
「……。みんな、死なないで! ……。
……。終わったら、またメロンパン食べさせてあげるから……っ!」
ハヤトの叫びに、召喚獣たちが最強の戦意を燃え上がらせた。
俺は全軍に向けて、不敵な笑みを浮かべて命じた。
「――全軍、突撃ッ!!」
黄金の焔龍がその熱量で空気を爆ぜさせ、巨神の腕を消し飛ばす。
間髪入れず、フェンリルが脚部を凍てつかせ、巨大な氷柱ごと粉砕した。
ベルが掲げた杖から放たれる闇魔法が、巨神の身体を次々と抉り取る。
「……。レオンさん、僕も手伝うよ! ……。
……。これを使って! 『爆炎のホイップパン』!!」
ハヤトが生成した真っ赤なパンが、弾丸のように空を舞う。
それを焔龍が空中で器用に咥え込み、一気に飲み込んだ。
「――グルゥゥァァッ!!」
ドラゴンの喉奥から溢れ出したのは、これまでの数倍の密度を持つ
白熱の超高熱ブレスだ。黄金の炎が巨神の胴体を真っ向から
貫き、ドロドロの泥を瞬く間に蒸発させていく。
「……。すごい! ……。
……。あんなに大きかった化け物が、どんどん小さくなっていくよ!」
圧倒的な力を見せつける召喚獣たちに、ハヤトが興奮した声を上げた。
俺はバラバラに解体されていく巨神を見下ろし、確かな手応えを感じていた。




