第40話:黄金の道標?
黄金の焔龍が放ったブレスは、もはや火炎
ではなく純粋な熱量の奔流だった。資材で埋まり、物理的に補強
されていた東の城壁が、一瞬でドロドロに溶け落ち、蒸発していく。
轟音と共に、幅数十メートルに及ぶ巨大な『道』が外へと突き抜けた。
「……。よし。……。避難経路は確保した」
俺は空中でさらに魔法陣を広げ、数十体の『風の精霊』を放った。
俺の意志を乗せた精霊たちが、黄金の光を帯びて街中へと散っていく。
(……。道は開いた! 迷わず東の破壊された城壁へ走れ!
……。立ち止まるな、荷物は捨てろ! 命だけ持って駆け抜けろ!)
人々が雪崩のように東門跡へと押し寄せる。その間も、王宮を覆う
泥の本体は、外周の魔物を引き込むため激しく脈動した。
「……。焔龍、瑞鳥。避難路の真上の触手を優先して叩き落とせ。
……。避難が完了するにはまだ時間がかかる。……。
……。一秒でも長く奴の食事を遅らせ、時間を稼ぐんだ」
空中を舞う触手を爆砕していくが、その衝撃で砕けた建物の瓦礫が
地上へと降り注ぐ。
「あ、レオンさん! ……。あれ、さっきの女の子だっ!」
ハヤトが身を乗り出して指差した先には、母親の手を引いて必死に
走る、あの路地裏で助けた少女の姿があった。
「危ないっ!!」
崩落した屋根の破片が少女たちを目掛けて落下する。瑞鳥の攻撃は
間に合わない。ハヤトは迷わず腕を突き出し、叫んだ。
「『メロンパン・バリケード』!!」
黄金のパンが地上で急膨張し、降り注ぐ瓦礫を完璧に弾き飛ばす。
「……。レオンさん、下は僕が守ります! ……。
……。避難する人たちのことは任せてください。だから、上を!」
「……。ふん。……。
……。言うようになったな。……。分かった、任せたぞハヤト」
俺は瑞鳥の高度を上げ、さらに巨大化を続ける泥の核を睨みつけた。
(……。避難が終わるまで、まだかかるな。……。
……。このまま俺たちの全戦力で、限界まで守り通してやる)




