第36話:封鎖された城門?
翌朝。薄暗い霧が立ち込める中、俺たちは王都の城門へと辿り着いた。
互いに深くフードを被り、顔を隠しての行軍だ。
「……。レオンさん、なんだかすごく静かですね。……。
……。あの大きな門も、ぴっちり閉まってますけど」
「……。ああ。……。
……。本来なら、商人の馬車で賑わっている時間のはずだがな。
……。いいか、ハヤト。絶対にフードを取るなよ」
俺たちが門の下に立つと、城壁の上から鋭い怒鳴り声が降ってきた。
「――おい! 下の二人! 何をやっている!
……死にたいのか! ……今すぐ中に入れ!」
脇の小さな通用門が開き、数人の兵士が俺たちを強引に引きずり込んだ。
地上通路は防壁を厚くするための資材で埋め尽くされており、
……。俺たちは誘導されるまま、城壁の上の通路を歩かされる。
「……。お前ら、運が悪かったな。……。
……。街へ入りたければ、ここを通り抜けるしかないぞ。
……。ほら、そこを見てみろ。今この国は、最悪の状況にあるんだ」
兵士が震える指で、城壁の外……地平線の彼方を指し示す。
(……。なんだ、これは。……。)
そこには、地平線を埋め尽くさんばかりの魔物の群れがいた。
だが、殺到するでもなく、一定の距離を保って王都を囲んでいる。
(……。おかしい。……。
……。俺の召喚獣の威圧なら、魔物は恐れて四散するはずだ。
……。だがこいつらは、何かに怯えながらも、そこを動こうとしない)
まるで、何かが降臨するのを、全員で待ち構えているような……。
……。恐怖で硬直しながらも、目を離せずにいる不自然な光景だ。
「……。頼みの結界は、とうの昔に機能しなくなっていてな……」
(……。結界が消えたのは、あの『泥』に魔力を吸われたせいか)
「……。陛下は何をされている。……。
……。宮廷魔導師たちは、この状況に手を打たないのか」
「……。……。……。
……。……。……。
……。……。ノーコメントだ。……。奥へ行け、食い殺されたくなければな」
兵士はそれ以上語るのを拒み、震える手で剣を握り直した。
俺は隣で立ち尽くすハヤトの肩を叩き、静かに街の奥へと歩き出した。




