表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強召喚士と、ハズレ扱いの異世界少年?  作者: じょん-ドゥ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/53

第25話:深まる疑念と、白い誘惑?

 森のエリアボスを討伐してから、さらに数日が過ぎた。

 俺――レオンは、このところ毎日、

 午前中にはギルド長室に足を運んでいる。


 「バルガス、まだか。

 王宮の防衛線の状況はどうなっている」


 「焦るな、レオン。

 今、とっておきの人材を放って情報を集めさせている。

 もうすぐ、詳細な『生きた情報』が手に入るはずだ」


 バルガスが苦々しく酒を煽る。

 俺が気になるのは、俺という『重石』が外れた後の、

 王国の防衛機能がどう推移しているかだ。


 (俺が去っただけで、

 そこまで加速度的に防衛線が崩れるものか?

 あの無能ども、俺の警告を無視して、

 無理な魔力抽出でもして龍脈のバランスを崩しやがったか……)


 思考を巡らせる俺の脳裏を、ふと別の違和感がよぎった。

 今、外でハヤトに同行しているはずの召喚獣――ベルのことだ。


 (ベルの奴。

 最近、俺への召喚の対価(報酬)を求めなくなった。

 力で屈服させる他者とは違い、

 俺は対等な契約として『魔力』を払ってきた。

 それなのに、最近は自ら進んでハヤトを護っている)


 その時、勢いよく部屋の扉が開いた。


 「レオンさん! バルガスさん!

 ただいま戻りました! ……見てくださいこれ!」


 戻ってきたハヤトの手には、

 焼きたてのパンの隙間から、

 雪のように白く柔らかな泡が溢れ出した『物体』が握られている。


 「これ、レベルが上がって出せるようになった、

 『生クリーム』です!

 ベルちゃんに一口あげたら、 しっぽを振って大喜びしちゃって。

 はい、どうぞ! 食べてみてください!」


 ハヤトは屈託のない笑顔で、

 俺とバルガスの前にその『ホイップパン』を差し出した。


 「……。ふん。……。

 …………ッ!? な、何だ、この口溶けは」


 一口齧った瞬間、俺の思考が一時停止した。

 雲のように軽いのに、暴力的なまでの甘み。

 隣ではバルガスが「おおおっ……!」と、

 言葉にならない呻き声を上げて震えている。


 (まさか、ベルの奴。

 俺が提供する高密度の魔力よりも、

 この『甘味』を対価として選んだというのか?)


 俺は、独自の召喚術の根幹である「対価の重み」が、

 ただの「菓子パン」に負けた事実に戦慄した。


 「レオン、これだ……。

 この小僧の『異能』があれば、

 疲弊した騎士団を、このパンで買収できるぞ……!」


 「バルガス、寝言は寝て言え。

 騎士団がパンごときで動くか。

 そんなんで買収できるなら、苦労はねえ」


 俺は甘い香りに満ちた室内で、

 冷静さを取り戻そうと鼻を鳴らした。

 だが、口の中に残るこの「未知の幸福感」を知れば、

 あながち冗談とも言い切れない破壊力を感じてしまう。


 「だがハヤト、これは……。

 ……

 ……確かに、悪くないな」


 俺は、このあまりに甘美な「毒」を噛み締めながら、

 不穏な静寂の先に待つ「重い報せ」を待った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ