第24話:祝杯の炭酸と、爆ぜるパン?
岩トカゲとの激闘を終え、森には再び静寂が戻った。
目の前には、役目を終えて自重でゆっくりと
崩れていく巨大な『メロンパン防壁』がそびえ立っている。
ピコン! ピコン!
「……はぁ、はぁ。……あ、止まらない!
レベル、一気に二十まで跳ね上がりました!」
ハヤトは座り込んだまま、脳内のウィンドウを見つめて叫んだ。
「……生成リスト、更新……えっ!?
『メロンソーダ(缶)』!?
……やった、やっと飲み物が出た!!」
ハヤトが震える手で『生成』を行う。
ヌルリと現れたのは、キンキンに冷えた緑色の缶だ。
プルタブを開けるプシュッ!という快音が、
この異世界の森に、場違いな清涼感を響かせた。
「……。
(……。俺が必死にトドメを刺した横で、
こいつは未知の魔法薬を飲みやがった)」
俺は深く溜息をつき、ハヤトから差し出された
『しゅわしゅわする水』を一口飲み、その刺激に眉をひそめた。
「……ニャ。主、それ、ボクにも!
……うわっ! 鼻がツンとするけど、甘くて美味しい!」
ベルが影の中で飛び跳ねる。だが、通知はまだ終わらない。
【条件達成:格上へのトドメ(アシスト)】
【スキルレベルアップ:物質生成Lv1→Lv2】
【追加機能:生成物への属性付与(火・粘)】
「……レオンさん、スキルも上がりました!
えーと……『属性付与:火(小)』と『粘着(小)』?
……パンに効果をつけるってことかな。よし、テストだ」
ハヤトは飲みかけのソーダを置くと、
右手に一個のメロンパンを生成した。
「……メロンパン、『火属性(小)』を付与……!
……えいっ!!」
ハヤトがそれを近くの巨岩に投げつける。
当たった瞬間――。
――ドォォォォンッ!!!
「…………なっ!?」
凄まじい爆風と共に、岩が粉々に砕け散った。
ただのパンが、一撃で火炎球を
超える破壊力を発揮したのだ。
「……火属性(小)でこれ!? じゃあ、次は『粘着(小)』……!」
ハヤトは別のメロンパンを取り出し、念じながら放り投げた。
パシャッ、という湿った音が響く。
パンは近くの木に当たった瞬間、どろりと溶けるように弾け、
……。白い粘着質の糸が、クモの巣状にパッと広がった。
それは瞬時に木の幹と周囲の地面を強固に繋ぎ、
……。対象を物理的に完全に封じ込めた。
「……。
(……。菓子パンで、物理的な『クモの巣』を
……。再現されては、専門家として立つ瀬がないな)」
俺は、爆発と粘着を繰り返すパンを呆然と見つめ、
「小でこれなら……」と震えるハヤトを連れ、
夕闇の迫る森を後にした。




