コルデー回想23
土間に突っ伏した男は痙攣し、土の上に血溜まりを作っている。
「どうして?なんで?」
弱々しい気配はなく過敏に立ち振る舞うふたりに混乱する。
「みすなの獲物はそれでいいの?」
言われて握ったスコップを見下ろす。
「すぐに雪崩れ込んでくるから準備したら。うちの年季は明けたから手伝わないから。」
白雪は表戸から離れて土足のまま座敷にあがり揺り椅子腰を下ろす。
偵察であろう三名が拳銃を片手に飛び込んできた。
盲のおじいの細い刃が胸から背中貫通する。引き抜けば血液が飛び散る。振り向きざまに腹を捌く。うめき声と地に落ちる内臓に現実味を感じなくなった。おばあの下にもひとり倒れている。つい、後ずさる。
「的になりたいの?いつまで呆けている気?あんたはコルデーでしょ。」
「コルデー?」
「うちたちは暗殺の天使。思い出さないとあんた、年季が明けないで終いにされるよ。」
コルデー、暗殺の天使。
「うちとあんたは友達?違うでしょ。あんたの家族はあの年寄り?違うでしょ。早く目を覚まして。」
家族じゃない。友達じゃない。くらりと眩暈がした。
両親がいないわけではない。祖父母もいない。
そう、3年前にわたしはある施設に売り飛ばされた。
次々と怒声を上げて侵入してくる男たちを淡々と倒し続ける。
あのふたりは殺し稼業だ。白雪は。
「シャルロット?」
「鈍臭いね。やっと思い出した。そこまで催眠にかかるってわらえるから。早くしないとこの美味しい獲物、みんな持っていかれてしまうよ。」
獲物はスコップ。今度こそ躊躇いなく頭や首に振り下ろした。
拳銃は怖くない。至近距離でなければ躱せる。そういう訓練を積んできたのだ。




