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ソラリコ  作者: 春鳩るい
36/105

朝食と再会3

 レイブリックは顎に手を当てながら、ロカに再度問いかける。


「主って……?」

「? この島の主よ?」

「?? 主の島にいるのが、この島の主?」

「うん」

「……えと、それは、コハントルタ国王のこと、」

「フェクサー、レイブリック! いつまで話してんだ、集合時間に間に合わねぇぞ」

「うわ、ディーが帰ってきたっ」


 騎士たちの背後からぬっと出てきたのは、眉間に皺を刻むディンセント。じと目で二人の肩をがしりと掴む光景を見たラズメリアが、またぷるぷると震え始めた。レイブリックがロカを見ながら何やら考え事の中にトリップしているようなので、ディンセントは苦い顔でロカを睨む。


「……お前、また何か余計なことを言ったのか」

「え、べ、別に何も」


 ディンセントは溜め息を吐く。今までのことを振り返ってみれば、ロカ自身が普通と考えている事柄でも、こちらにとっては常識外れの場合が多い。レイブリックは理論的な思考の持ち主なので、大方、一般常識と合致しない何かをロカが言ったことで、頭の中がちぐはぐになっているのだろう。


「まったく……おい、ほら! 行くぞ、二人とも」

「あー、はいはい。じゃ、ロカちゃんたち、またねー」


 ロカに手を振るフェクサーと考え事で上の空のレイブリックを引っ張るディンセントが食堂から出ていくのを見届けたロカの耳に、アルタの声が聞こえる。


「何か……変わった三人組だなぁ。本当に騎士?」

「えと、ディンセントは乗り物に乗っている騎士で、フェクサーは鳥のソラニルと一緒にお仕事をしている騎士で、レイブリックは……うーん、よく知らないわ」

「軽騎士と伝令士と謎の人物のトリオってわけね。んー、騎士って仕事で一緒になったことないから、ほとんど知らないなー」

「そうなの? 私がいた島では、騎士とソラリコはほとんど一緒にいたわ」

「へー、そうなんだ。うちでは、ソラリコだけでいることが多いかな。あとは、たまに医療士と一緒にいる感じ」


 そこで、アルタは両手を組んで固まっているラズメリアを見て苦笑する。


「ちょっと、ラズ、大丈夫?」

「ぴゃっ? あっ、え、ええええ、だだ大丈夫っ。ち、ちょっと、びびびっくりしただけ」

「ははっ。ラズって、ほとんどの男の子のことがコワイんだもんねーっ」

「そうなの?」

「あっ、その、うー」


 ラズメリアは眼鏡を上げたり髪の毛をいじったり、落ち着かない様子だ。


「まぁ、いいじゃん、無理しなくて。コワイものはコワイんだし」

「ごめんね、ラズメリア。気付かなくて」

「えっ、い、いやいやいや、いい、いいのよ、ロカちゃんっ」

「そうだよ。さっきの彼らはロカの知り合いでしょ。ぼくたちに遠慮はしないでいいからねー」

「そ、そ、そうよっ」

「そうなの? ……分かったわ、ありがとう」

「よし。さ、ぼくたちもそろそろ食べ終わらなきゃ」


 その合図で、ロカは半分残っているアップルジュースを飲み始める。

 ふいに先ほどのレイブリックや他の皆の反応が過った。


 ……島の主のこと、皆は知らないのかしら?




 廊下を歩くディンセントは、一番後ろで考え事をしているレイブリックに振り返る。


「レイブリック、まだ何か考えているのか?」

「……ん? ああ、ちょっとな」

「えー、何、何? あの女の子たちの中で、誰が一番好みのタイプかって?」

「お前と一緒にするな、ゲスめ」

「ストレートな罵声!」

「ロカに何を言われたんだ」

「……主の島にいるのが、この島の主」

「え?」

「そうそう、ロカちゃんからレイに対する謎かけ」

「フェクサーも謎をかけられた一人だが、かけられたことにすら気付いていないかわいそうな奴だ」

「えっ、オレ、かわいそう?」


 適当にフェクサーをいなしながら顎に手を当てて思案していたレイブリックだったが、ふっと鼻で笑うと肩を竦めた。


「……まあいい。さ、仕事だ」

ラズメリアちゃん、ぷるぷる。

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