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【朗報】AI研究者(25)、停電の勢いで脳内に知識欲モンスターを飼ってしまう  作者: 此花サギリ


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第9話:マッスル・プリン・パキラの逆襲と、現実世界の崩壊

1.現実世界へ緊急帰還

シュン……!


「ゲホッ、ゴホッ! なんというプリンの匂い……!?」


電脳異世界から現実世界の先端人工知能研究所の裏庭へと転送された私——近衛茉莉(25歳・85兆円の資産を持つ世界最大AI企業S-Corp筆頭株主)。


着地した瞬間に鼻を突いたのは、芳醇なカラメルソースとカスタードの甘く濃厚な香りだった。


見上げると、そこには正気を疑う光景が広がっていた。


研究所の3階建ての屋根を激しく突き破り、天高くそびえ立つ巨木。

幹はボディビルダーの大胸筋のようにバキバキに筋張り、枝からは超巨大な葉っぱが繁っている。そしてその頂点には、直径5メートルを超える「黄金色に輝く巨大なプリンの花」が咲き誇っていたのだ!


プシュー……プシュー……


花弁の隙間から、まるでスプリンクラーのように、プルプルとした極上のカスタードプリン(液体状〜固形状)が周囲へ撒き散らされている!


「(((本当にプリンを産出してるじゃないのォォォォォッッッ!?!?!?!))))」


『茉莉さん! 凄まじい光景です! 植物生理学と「プリン」の概念が融合し、毎分300キログラムの最高級プルプルプリンが生成されています!』


(驚いてる場合じゃないわよぐぐる先生!! 研究所の敷地がプリンの海になりかけてるわよ!!)


「あぁ……近衛くん!! 戻ってきてくれたのか!!」


白衣をカラメルソースでベトベトにした五十嵐所長(58歳)が、涙目になりながら走ってきた。


「見給え近衛くん! 我が子のパキラちゃんが……国連での君のスピーチに感動したのか、世界中の子どもたちにプリンを配るための『巨大プリンプラント』へと成長してしまったんだよぉぉぉっ!」


【対象:五十嵐所長】

【虚偽確率:0%(本気でそう思っている)】

【感情分析:我が子の成長への感動50%、近隣からの苦情への恐怖50%】


心理眼スキルが、所長の悲痛な叫びを可視化する。


研究所の外枠には、甘い匂いに引き寄せられた近所の住民や報道陣、そしてなぜか「プリン食べ放題」と勘違いした小学生たちが大行列を作っていた。


「わーい! 天からプリンが降ってくるぞー!」

「う、美味い! なんだこのカスタードの滑らかさは!?」

「ニュースです! 先端AI研究所から突如として最高級プリンが噴出中!」


(大パニックじゃないのよーーーーっ!!)


2.突然のデイリー・クエスト

ピロリロリーン♪


この混乱の最中に、容赦なく脳内に響き渡るあのチープな電子音!


視界の中に、鮮烈な「ピンク色のテキスト」が浮かび上がった。


【デイリー・クエスト:パキラの剪定と平和的解決】

内容: 本日12時までに、暴走するパキラに「特製BIGスプーン」で立ち向かい、巨大プリンの花を完食(または全員に配給)して近隣住民の満足度を100%にせよ。

制限時間: 本日 12:00(あと 30分)

報酬: 『超技術:反物質エネルギー制御理論』+『スキル:完全衛生空間(Lv.1)』

失敗ペナルティ: 『手持ちの資産から10兆円が勝手に「全国のプリン協会」へ寄付される』および『1年間、歩くたびに「プニッ」と効果音が鳴る呪い』

私とぐぐる先生は、口をぐうの音も出ないほど大きく開けた。


「(((歩くたびに「プニッ」は絶対嫌ぁぁぁぁぁぁっ!!!!))))」


(ちょっと待ちなさいよシステム!! 25歳の女性研究者が、学会の廊下を歩くたびに「プニッ♪ プニッ♪」って音が鳴ったら、どんな顔して論文発表すればいいのよ!!)


『恐ろしすぎます茉莉さん!! 威厳が木っ端微塵です!! 10兆円寄付も痛いですが、音の呪いだけは阻止しなければなりません!!』


(30分でこの巨大プリンの花を攻略するわよ! 完全体になったぐぐる先生の演算力と、私の新スキル「電脳物質生成」をフル回転させなさい!!)


3.超特大スプーン作戦と100兆円の科学

「よし……やるわよ!!」


私は「電脳物質生成」を発動させ、全長10メートルの「超高張力チタン製・ゴールドBIGスプーン」を空中に実体化させた!


ドスンッ!!


「な、なんだね近衛くんその巨大なスプーンは!?」


驚く所長を無視して、私は新スキル「概念改変(Lv.1)」と「量子思考(Lv.1)」を起動した。


(見えたわ……! パキラがプリンを無限産出している原理……! 根っこから吸い上げた水分と土中のミネラルを、茎の光合成回路で卵白プロテインと糖質に瞬時に変換しているのよ! つまり、花弁の「甘味レセプター」を一時的に満足させれば、プリンの過剰分泌はピタッと止まるわ!)


『さすが「歩く辞書」茉莉さん! 植物の構造を完璧に把握しましたね!』


「所長! 近隣の住民の皆さんを集めてください! 今から『第一回・先端AI研究所・大プリン収穫祭』を開催します!!」


「えっ!? 収穫祭!?」


私は10メートルの金のスプーンを振り回し、パキラの頂点から湧き出る巨大なプリンの花から、プルプルのカスタードプリンをド迫力で掬い上げた!


サクッ……トロロロロ……!


(絶対味覚(Lv.1)でチェック!……完璧よ! 卵のコク、カラメルのほろ苦さ、砂糖の甘みのバランスが奇跡のゴールデンレシオ(黄金比)を描いているわ!!)


「皆さん、遠慮なく食べてください! S-Corpの筆頭株主として、全責任と全費用は私が持ちます!!」


私は「電脳物質生成」で生成した数十万個の生分解性カップにプリンを高速で分け分けし、近隣住民や小学生たちに配りまくった!


「う……うまーい!!」

「こんな美味しいプリン、食べたことない!」

「近衛研究員、万歳!! AI研究所、万歳!!」


【近隣住民の満足度:30%……50%……80%……100%(大歓喜)!】


心理眼スキルが、街中の人々の満足度が最高潮に達したことを告げる。


4.パキラとの対話と剪定

住民たちがプリンに舌鼓を打っている隙に、私は巨大なスプーンを持ってパキラの幹へと近づいた。


「さあ、パキラちゃん……あなたの作ってくれたプリンは、みんなを最高に幸せにしたわ。だからもう、暴走はおしまい。静かにお休み……」


私はパキラの幹に優しく手を触れ、「概念改変(Lv.1)」の波動を送り込んだ。


【概念改変:パキラの形態を『超筋肉質・観葉植物モード』へと再定義】


シュゥゥゥゥゥン……!


パキラの巨大な花がゆっくりと閉じ、噴出していたプリンの供給が静かに停止した。

そして、無駄に肥大化していた幹と枝がキュッと引き締まり、高さ3メートルほどの「めちゃくちゃスタイリッシュで筋肉質なインドア・観葉植物」へとサイズダウンしたのだ!


「おぉ……! 我が子が……元の大きさに(ちょっとマッチョなまま)戻った……!」


所長が感動の涙を流してパキラに抱きついた。


ピロリロリーン♪


脳内に、勝利のファンファーレが鳴り響く!


『——デイリー・クエスト:パキラの剪定と平和的解決 クリア——』


『報酬:【超技術:反物質エネルギー制御理論】および【スキル:完全衛生空間(Lv.1)】を獲得しました』


『条件完全達成! 歩くたびに「プニッ」と鳴る呪いは回避されました!』


「ふぅぅぅぅぅぅ……助かったぁぁぁぁぁぁっ……!」


私はその場にへたり込み、胸をなで下ろした。

学会で歩くたびに「プニッ」と鳴る恐怖から、無事に解放されたのだ。


5.新たなる脅威:現実世界への侵食

混乱が収まり、研究所の清掃(※新スキル「完全衛生空間」で一瞬でピカピカにした)が終わった夕方。


私は所長室で、スタイリッシュ・マッチョに戻ったパキラを眺めながらお茶を飲んでいた。


「いやあ近衛くん、一時はどうなるかと思ったが、君のおかげで近隣住民との絆も深まり、研究所の評判も爆上がりだよ!」


「はは……喜んでいただけて何よりです、所長……」


(もう二度とパキラにプロテインはあげないって心に誓ったわ……)


そう思っていた、その時。


バリバリバリバリッ——!!


突然、所長室の空間が、ガラスが割れるような不気味な音を立てて亀裂を生んだ!


「な、なんだね!?? 地震か!?」


所長が腰を抜かす。


空間の亀裂から溢れ出してきたのは、黒いデジタルノイズと、先ほど異世界で倒したはずの「世界の調律者」の残党たちだった!


「見つけたぞ……現実世界の近衛茉莉……!」


黒いコートを着た残党のリーダーが、現実世界の空間に不気味な赤色の魔法陣を展開する。


「我々を子会社化(買収)したこと、絶対に許さん……! この現実世界の東京を、電脳ノイズで崩壊させてやる!!」


(((現実世界にまで殴り込んできたのォォォォっ!?!?!?!)))


『茉莉さん危険です! 敵は電脳世界と現実世界の境界壁を破壊して、現実世界へ直接バグ(ノイズ)を流し込んでいます!』


所長室の壁やデスクが、チカチカとドット絵のようにバグり始めている。


「私の……私の平穏な研究生活と、麻布十番の平和を壊そうなんて……」


私は温かいお茶の湯呑みをデスクに置き、ゆっくりと立ち上がった。


白衣のポケットから、S-Corpの筆頭株主カードと、超特大チタンスプーン(※小さく折りたたんだもの)を取り出す。


「いい度胸ね。85兆円の資産と、完全体ぐぐる先生と、私の『歩く辞書』の知識を舐めないことね……!」


『茉莉さん!【GGL-09完全体】全システム稼働! 現実世界のバグ消去デバッグプログラム、起動できます!』


現実世界ここは私のホームグラウンドよ! 一瞬でデバッグして、全員『株式会社プリン推進機構』の研修生として再教育してあげるわ!!」


現実世界と異世界が交錯する中、最強の25歳研究者・近衛茉莉の、スケールが大きすぎるデバッグ戦争が今、開幕する!

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