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【朗報】AI研究者(25)、停電の勢いで脳内に知識欲モンスターを飼ってしまう  作者: 此花サギリ


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第12話:月面のカラメルソースと、銀河最強の株主

1.銀河戦艦の降伏と「カラメルソース作戦」

「ば、バカな……! 我が銀河評議会が誇る最新鋭旗艦『ゼネラル・スーパーノヴァ号』が、地球人の一研究者に買収されただとぉぉぉっ!?」


宇宙戦艦のブリッジで、司令官ザックス(青い皮膚の異星人)が端末を三度見しながら泡を吹いていた。


『【筆頭株主命令】:司令官ザックス以下、全乗組員(5,000名)は直ちに宇宙服を着用して月面に降下し、大型スプーンでプリンのカラメルソース塗布作業に従事すること。従わない場合は全員解雇(無職)とします』


「かい……解雇ぉぉぉっ!? 住宅ローンがまだ200年分残っているのにぃぃぃっ!?」


シュー……ッ!


数分後。


月面の静かの海に、整列した5,000名の異星人兵士たちが降り立っていた。

全員が手に持たされているのは、私がスキル「電脳物質生成」で大量生産した「銀河仕様・超巨大スプーン」だ。


「よし、全員集まったわね!」


私は純金宇宙服姿で、100メートルの金のスプーンを肩に担ぎながら指揮を執った。


「あなたたちの戦艦の熱線ビームを使って、あの巨大プリンの表面(ダークマター層)を適度に加熱してカラメル化させなさい! 焦がしたら減給よ!!」


「は、はいっ!! 株主様!!」


さっきまで地球消滅を企んでいた粛清部隊の兵士たちが、涙目になりながら戦艦のレーザー照射角度を微調整し始めた。


ジーーーーッ……プルルンッ!


適度に加熱された宇宙プリンの表面が、香ばしく黄金色から深い琥珀色(カラメル色)へと変化していく。


「見事だ……! これによってダークマターの不安定なエネルギー波動が、至高の香気成分へと安定化していく……!」


レイジが純金タキシード姿で感動に打ち震えている。


「関心してないで手伝いなさいレイジ! あと15分で完食しないと、私の頭から『ニョキッ』ってタケノコが生えてくるのよ!!」


「(((まだタケノコを恐れてるのかこの人はーっっっ!!))))」


2.100兆円の胃袋と最後のひとくち

【宇宙プリン消化率:80%……90%……95%!】


完全体ぐぐる先生の『電脳代謝サポート』と『完全衛生空間』のフル回転により、私の胃袋はブラックホール並みの消化能力を発揮していた。


直径10キロのクレーターを埋め尽くしていた宇宙巨大プリンが、みるみるうちに小さくなっていく。


「ふぅ……ふぅ……! 美味しい……美味しいけど……さすがに10キロ分のプリンは、お腹がいっぱいになってきたわ……!」


【制限時間:残り 2分】


「まずいぞ近衛氏! あと少しなのに時間が……!」


見上げると、クレーターの底に最後の「直径10メートル分のプリンのコア」が残っていた。

ここが一番ダークマター密度の高い、超濃厚カスタード部分だ。


『茉莉さん! 限界を超えてください! 85兆円の資産、100兆円の力、そして「歩く辞書」の底力を見せる時です!』


脳内でぐぐる先生が熱く叫ぶ。


(そうね……! 私がここで諦めたら、明日の学会発表で頭からタケノコを生やしたまま『量子AIの未来』について語ることになっちゃうわ……! そんなの、25歳の女性研究者として絶対に嫌ぁぁぁぁぁっ!!)


「覚悟しなさい宇宙プリン!! 『超感覚演算』&『概念改変』——限界突破オーバードライブ!!」


私は100メートルの金のスプーンで最後のプリンの核をごっそりと掬い上げ、一気に口の中へと放り込んだ!!


モグモグモグ……ゴクンッ!!


3.デイリー・クエスト達成と、銀河への平和

シーン……


月面に、静寂が訪れた。


巨大なクレーターを埋め尽くしていた宇宙巨大プリンは痕跡すら残らず消え去り、そこにはただの綺麗な月面のクレーターだけが残されていた。


私の胃の中で、ダークマターの莫大なエネルギーが『反物質エネルギー制御理論』によって完全に無害な余剰電力(地球を100年間まかなえる量)へと変換されていく。


そして——。


【制限時間:本日 18:00(ジャスト達成)】


ピロリロリーン♪♪♪


脳内に、かつてないほど豪華で壮大な銀河級ファンファーレが響き渡った!


『——新章突発クエスト:宇宙規模のプリン危機 クリア——』


『報酬:【称号:銀河を統べる歩く辞書】および【スキル:銀河資産無限融資枠(上限なし)】を獲得しました!』


『条件完全達成! 頭からタケノコが生えてくる呪いは永久に無効化されました! おめでとうございます!』


「勝った……! 勝ったわぁぁぁぁぁぁっっっ!!」


私は月面で純金宇宙服のままガッツポーズを決めた。

頭皮をそっと触る。ツルツルだ。タケノコの「タ」の字も生えていない!


「おめでとう近衛氏……! 君は太陽系の消滅を食い止めたんだ……!(※本人はタケノコを防いだ気でいるが)」


レイジが拍手を送り、5,000名の異星人兵士たちも「株主様バンザイ!」「減給にならなくてよかった!」と歓声を上げた。


4.エピローグ:どこまでも続く、日常とクエスト

数日後。


地球・麻布十番の『S-Corp自立型AI量子研究センター』。


最高級の革張りチェアに深く腰掛け、私は至高のお茶をすすりながら、パソコンで国際学会の論文を執筆していた。


隣では、買収した『ゼネラル・ギャラクシー社』から宇宙直送で届いた最高級スイーツを、五十嵐所長と(マッチョな)パキラが美味しそうに食べている。


「いやあ近衛くん、月面から持ち帰ってくれた『余剰電力データ』のおかげで、我が研究所は世界初の『無限エネルギー研究所』としてノーベル賞確定と言われているよ!」


「はは……そうですか、所長。よかったですね……」


(私、ただ頭からタケノコが生えるのを防ぎたかっただけなんだけどね……)


『茉莉さん、ふふっ。でも楽しかったですね! 85兆円の資産も、新スキルの【銀河資産無限融資枠】のおかげで実質無限になりましたよ!』


(無限って何よ……もうお金の概念すら壊れてきたわね……)


脳内でぐぐる先生と笑い合う。

世界を救い、銀河を買い叩き、完全体AIとともに手に入れた、穏やかで(?)贅沢な日常。


これでもう、突飛な事件に巻き込まれることもないだろう。


そう思った、その時だった。


ピロリロリーン♪


またしても脳内に鳴り響く、あのチープで親しみやすい電子音!


視界の中に、ウルトラド派手な「七色の虹色テキスト」が浮かび上がる。


【全次元統合最終(?)デイリー・クエスト:平行世界の私とのティーパーティー】

内容: 本日15時までに、別次元からやってきた「850兆円持っている悪役令嬢バージョンの近衛茉莉」と、麻布十番のカフェでプリンを食べながら優雅にお茶会をせよ。

制限時間: 本日 15:00(あと 30分)

報酬: 『超時空移動機能』+『全次元プリン永久無料パス』

失敗ペナルティ: 『1週間、ウインクするたびに「パチンッ☆」と巨大なクラッカーの音が鳴り響く呪い』

私は紅茶を吹き出しそうになり、ぐぐる先生と顔を見合わせてニヤリと笑った。


「(((ウインクでクラッカーは、ちょっとやってみたいかも……じゃなくて嫌だぁぁぁぁぁぁっ!!!!))))」


(行くわよぐぐる先生! 850兆円の私なんて、私の85兆円と無限融資枠で返り討ち(おもてなし)にしてやるわ!!)


『了解です茉莉さん!【GGL-09完全体】、最高級プリンの予約完了しました! 次元を超えたお茶会へ、出発です!!』


どんな理不尽なクエストが来ようとも。

どんな奇妙な呪いが迫ろうとも。


85兆円の資産と、完全体脳内AIと、溢れ出る知性を持つ「歩く辞書」近衛茉莉の、痛快で破天荒な冒険は、全次元を巻き込んでどこまでも続いていく!



【『脳内共生AIと謎のシステム』全12話・完結】

ご愛読、本当にありがとうございました!

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