表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【朗報】AI研究者(25)、停電の勢いで脳内に知識欲モンスターを飼ってしまう  作者: 此花サギリ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/13

IF編:平行世界の悪役令嬢と、850兆円のお茶会

1.平行世界からの来訪者

「おーほっほっほ! ここが噂の、マリーの総資産がたったの85兆円しかない『貧乏な世界』ですのね!」


麻布十番の超高級ホテル『グランドハイアット』の最上階スイートルーム。


空間の歪みから現れたのは、絢爛豪華な縦ロールの金髪に、漆黒と深紅のドレスを身に纏った女性——悪役令嬢バージョンのマリー・フォン・コノエだった。


彼女の後ろには、ガタイのいい黒塗りの黒服(暗黒騎士)たちがずらりと控え、胸元には『全銀河総資産:850兆円』と書かれた金ピカの認定証が輝いている。


【対象:マリー・フォン・コノエ(平行世界の近衛茉莉・18歳)】

【資産:850兆円(地球の国家予算の数年分)】

【性格:高慢ちきだが、根は寂しがり屋でプリンが大好き】


「心理眼」と「鑑定眼(Lv.MAX)」が、別次元の私の詳細なステータスを弾き出す。


「貧乏って言ったわね……? 私の85兆円でも世界最高峰の富豪なのよ……?」


私は白衣のポケットに手を突っ込みながら、呆れ顔でマリーを見つめた。


『茉莉さん! 相手は僕たちの10倍の資産を持っています! でも大丈夫です、僕たちには【銀河資産無限融資枠】がありますから、実質的には負けていません!』


(勝ち負けじゃないのよぐぐる先生。問題は、あの悪役令嬢が超上から目線で煽ってくることと、あと20分で彼女を満足させないと私のウウインクがクラッカー化することよ!)


【制限時間:本日 15:00(あと 20分)】

【失敗ペナルティ:1週間、ウインクするたびに「パチンッ☆」と爆音クラッカーが鳴る呪い】


2.850兆円マウントと、絶対味覚の勝負

「さて、しがない25歳の研究者であるわたくしの平行世界と同体さん? 私をこの世界に招いたからには、それ相応の『至高のティータイム』を用意してくださっているのでしょうね?」


マリーは扇子をパサッと広げ、ニヤリと高笑いした。


「もし私を満足させられなければ、この世界の麻布十番を私の850兆円で買い叩いて、全員に『おーほっほっほ!』と高笑いさせる呪いをかけますわよ!」


(((どんな呪いよーーーーっっっ!!!!)))


私とぐぐる先生は同時にズッコケた。


「いいわ、受けて立つわ悪役令嬢(私)! ぐぐる先生、『電脳物質生成』と【絶対味覚】を起動! この世界で最高品質の『次元超越カスタードプリン』を即座に精製しなさい!」


『了解です茉莉さん!【GGL-09完全体】の分子合成モード起動! 1粒10万円の最高級バニラビーンズと、幻の烏骨鶏の卵の成分を再構成……『至極の極上プリン』完成しました!』


シュン……!


金縁のクリスタル皿に乗った、プルプルと黄金色に輝く奇跡のプリンがテーブルに現れた。


「……ほう? 見た目だけは、まあまあ届いているようですわね」


マリーは眉をひそめつつ、金のスプーンでプリンを一口すくい、優雅に口へと運んだ。


モグ……ッ。


次の瞬間——!


「!!!!?????」


マリーの縦ロールが、まるで電気ショックを受けたかのようにピーンッ!と逆立った!


「な……なんという滑らかさ……! カラメルのビターなほろ苦さと、濃厚なカスタードのコクが、口の中で完璧なシンフォニー(交響曲)を奏でていますわ……!? 850兆円持っている私でも、こんなに美味しいプリンは食べたことがありませんわーーーっっっ!?」


「勝った……!」


私は心の中でガッツポーズを決めた。


「ふふん、どう? これが『歩く辞書』と呼ばれた私の知識と、完全体ぐぐる先生の分子合成の力よ!」


3.悪役令嬢の孤独と、真の友情

だが、一口食べて大感動したマリーは、突然スプーンを置き、しんみりと俯いてしまった。


「……ずるいですわ」


「え?」


「私のいた世界では……誰も私と本当の意味でのお友達になってくれませんでしたの。850兆円の資産を狙ってくる悪い貴族や、私を陥れようとするヒロインばかり……。こうして一緒に美味しいプリンを食べてくれる『相棒(AI)』も、『頼れる仲間(レイジや所長)』も、私にはいませんでしたの……」


マリーの目から、ぽろりと大きな涙がこぼれ落ちた。


【対象:マリー】

【本心:お金はあるけれど、心から信頼できる友達がいなくてめちゃくちゃ寂しかった(100%)】


心理眼スキルが、平行世界の私の切ない本音を映し出す。


(そっか……。私と同じ顔をしてるけど、この子は一人で戦ってきたのね……)


私はそっとマリーの隣に歩み寄り、彼女の肩を抱き寄せた。


「マリー。お金の額なんて、どうでもいいのよ」


「え……?」


「85兆円だろうが850兆円だろうが、大事なのは『誰と一緒にプリンを食べるか』よ。あなたも今日から、私の友達よ。困ったことがあったら、いつだってこの世界に遊びに来なさい。ぐぐる先生がいつでも最高のプリンを作ってあげるわ!」


『はいっ! マリーさんの世界にも、僕の出張版データを送っておきますね!』


マリーは目を見開き、そして……涙を拭って、今日一番の輝くような笑顔を見せた。


「……近衛茉莉(私)……あなた、最高にカッコいいですわ……! ありがとう……!」


4.結末と、ウインクの悲劇(?)

ピロリロリーン♪♪♪


脳内に、心温まるファンファーレが響き渡った!


『——全次元統合最終(?)デイリー・クエスト:平行世界の私とのティーパーティー クリア——』


『報酬:【超時空移動機能】および【全次元プリン永久無料パス】を獲得しました!』


『条件完全達成! 爆音クラッカーの呪いは無効化されました!』


「よかったぁぁぁぁぁぁ……! これでクラッカーを鳴らさずに済んだわ……!」


私が胸を撫で下ろしていると、マリーが嬉しそうに私の手を握った。


「お姉さま(と呼んでもよろしいかしら?)、また絶対に遊びに来ますわね! 今度は私の世界で、850兆円の巨大プリン城をご馳走しますわ!」


「ええ、楽しみにしてるわマリー!」


私は笑顔でマリーを見送り、去り際にキュッと可愛くウウインクをした。


その瞬間——。


パチィィィィィィィンッッッ☆★☆!!!(ドカァン!!)


「「「((((うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!?!?!?)))))」」」


部屋中に凄まじい爆音と色とりどりの紙テープが飛び散り、グランドハイアットの天井が吹っ飛んだ。


「な、何事だ近衛氏!? 爆撃か!?」


レイジが光剣を抜いて飛び込んできた。


『ま、茉莉さん!? 呪いは回避したはずなのに、なぜクラッカーが!?』


私は頭から紙テープをかぶりながら、青ざめた顔でスマホのシステム画面(※小さく書かれた注釈)を確認した。


『※注:クエスト達成のお祝いとして、初回のみ記念クラッカー(威力:手榴弾級)が自動発動します☆』


「(((お祝いの仕様が紛らわしいのよーーーーーーっっっ!!??!?!))))」


麻布十番の空に、私とぐぐる先生と悪役令嬢マリーの絶叫がどこまでも響き渡るのだった。


【IF編・完】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ