第69話
ドロップ品を探すが見当たらず、疲れた身体に鞭を打ちオアシスに歩いて戻った。そして階段付近にボロボロになった身体を木に預け座り込み疲れを癒す。
しかしサンドワームは相性が悪かった。やはりあのブヨブヨした体が問題なのだろう。打撃だと波打つように威力が分散され内部までダメージが届きにくい。その反面、斬撃なら・・・・・無い物強請りか。
階段付近で休憩中だった所に、先程セーフティーゾーンで出会った軽鎧を身に纏った男が、パーティーメンバーを連れて階段昇って来た。そして血や汗や砂で汚れ、ボロボロ状態の俺の恰好を見て彼等は固まり、なんとか絞り出すように言葉を発した。
「だ、だ、大丈夫ですか?何かありました?」
大丈夫か大丈夫じゃないかと言えば、大丈夫ではない。未だ握力が戻らない程だ。
「はい、なんとか。先程までサンドワームと戦っていましたので」
「「「「えっ」」」」
えっ?何か変な事言った?
「あれと・・・戦ったのですか!?」
え?何?ダメだったの?
「ま、まぁ、仕方なく?」
俺の返答を聞いた彼等は、深いため息を吐いた。
聞く所によると、この十六階層のサンドワームに手を出さない事が、探索者の中で有名な話しらしく、一般の探索者は寄り道せず十七階層に向かうそうだ。
稀にギルドが、サンドワームのドロップ品狙いで戦うことがあるそうだが、その時は遠距離や魔法が使えるパーティー編成で挑むらしい。他の一般探索者は基本スルーの一択だそうだ。
それと、ソロで探索するなら十七階層がお薦めと教えてくれた。
「ありがとうございます、勉強になりました。貴重な情報まで頂き感謝します」
「いえいえ。分からない事があればいつでも聞いてください。伊達に三年も探索者生活していませんから。それじゃ」
彼等はそう言い残し、十七階層に向かっていった。
彼等を見送った俺はセーフティーゾーンに向け階段を降りていく。そして、彼等が言っていたもう一つの階段を探す。もう一つの階段は十五階層の階段の反対側あり、何処に行けるのかが知りたく降りていった。
降った先に一部屋の空間があり、その中心には高さ一メートル程の石碑が二基建っていた。
この二基の石碑の上部には十五の数字が彫られ、片方は十五の下に横線が、もう片方は十五の上に横線が彫られていた。
予想はしていたがここは転移部屋だと思う。片方は上層階でもう片方は下層階に行けるのだと思う。
俺は十五の下に横線が彫られた石碑の上部に手を置いてみた。
一瞬の暗闇の後、直ぐに視界が戻り転移出来た事に安堵する。着いた石碑には一と彫られており、ここが一階層だと言うのがわかった。そしてこの場所には見覚えがる。
ここは何度も見た景色。視界の端にはダンジョン協会一階ロビーに昇る階段も見え、ここが一階層入口広場である事がわかった。
この石碑は広場の隅にあり、そもそも一階層を示すだけの物と認識でいたので、特に意識をしていなかったが、まさか転移用石碑だったのは驚きだ。
とりあえず一階層から十五階層へ転移出来るのはありがたい。もし転移が無いとすると、移動に時間が取られ探索に割く時間が限られてくる。しかも深く潜れば潜る程影響は大きくなり、一日を移動に費やす事になりかねない。




