第68話
サンドワームの口の中はびっしりと歯が幾重にも生えており、最も注意しなければならなさそうだ。その次に体格差による圧し潰し。どちらも死に直結しそうで危険だ。やはり接近戦しか出来ない俺は、遠中距離魔法の取得を急いだ方が良いのかも知れない。安全の担保は多い程良いし。
突っ込むしか能がない俺はサンドワームの懐に入り、スコップで一撃を加え即離脱する。すると、さっきまで俺がいた場所に、サンドワームが圧し掛かる。あの巨体だ。千キロは超えていそうな重量で、圧死は免れない。うん、あれは死ねるわ。
サンドワームは今横倒しになった状態なので、再度接近し盾の反発威力を信じて叩き込む。効いてるような効いていないような不思議な感覚であり、すぐさま離脱をしようとした所でサンドワームの頭部が近づいてくるのが視界に入った。サンドワームが体をくの字に曲げ俺を吹き飛ばしにきたのだ。
「っ痛!なんつう威力だよ」
当たる瞬間に飛び退いたお陰でダメージを軽減できたものの、吹き飛ばされ砂漠を転がった為、砂が口の中に入り唾と一緒に吐き出す。血も混ざっており口の中が切れたようだ。
だが、感触は掴めた。盾での攻撃を何度も繰り返していけば効いてくるはず。要は蓄積ダメージだ。
ヒットアンドアウェーで何度も盾で攻撃をし、ダメージを蓄積させていく。時にはサンドワームの口元に近づきすぎて食べられそうになるが、回避優先で行動していたので難なく躱していく。そして何度目か分からないが、繰り返し盾で攻撃していた際に、勢いの余り右拳でも殴ってしまった時に事件がおきた。
ボンッ!
突然の爆発音に驚き、直ぐに後退する。
サンドワームの体表に薄っすらと焦げた痕が残っている。どうやらサンドワームの体内で爆発した訳ではないようだ。では、何処からだ?右手に嵌めたグローブを見る。異常は無さそうだが、考えられる可能性としたらこのグローブかも知れない。
もう一度サンドワームの懐に潜り込み、右拳を力一杯叩き込んだ。
ボンッ!!
間違いない。このグローブの特殊効果だ。
琴音さんも人が悪い。宝箱の中にグローブの効果を手紙にしてくれてもよかったのに。
特殊効果が爆発なのは分かった。あとは、威力の問題か。
一度目は体表に焦げ跡が残った程度。体内側にダメージが通っているのだろうか?二度目のは、広範囲に焦げ痕が残っているのを見るに、中心部は結構な熱量があったと思われる。
なら、爆発の威力を上げる方法はパンチの威力に比例している可能性が高い。
「これだけ分かれば十分だ」
ヒットアンドアウェーの立ち回りは変えず、一点集中で殴り続ける。目標箇所も焦げて、いい目印になっている。
しかし俺も無傷で立ち回れる程熟練度が高い訳ではなく何度か被弾していくが、サンドワームの圧し掛かりの大きな隙を狙い、突進力を利用した一撃を放つ。
「早く!倒れろ!」
渾身の一撃をサンドワームに叩き込んだ。すると徐々に動きが鈍くなり最後には止まり、黒く霧散していった。マジで疲れた・・・・




