第64話
「ここは・・・山の麓か」
階段を降りた先に小さな湖があり、その周りに森が広がり右側には山も見える。何処か自然豊かな山奥の雰囲気で心地いい。弁当持参でピクニックが似合う良い場所だ。
そして対岸には十三階層へ続く階段が見えた。湖に沿って行けば階段に辿り着くのでこのまま進む。途中にワニに似た魔物が湖の水際にいるが、何だか日向ぼっこしているようなので全てスルーする。この風景は名残惜しいが、仕方なく階段を降りていった。
十三階層は十二階層とのは違い、人工迷路の洞窟だった。
「まるで昔のダンジョンゲームのようだ」
後ろは行き止まりになっている為、前に進む。何度か曲がり角はあったが道なりに進んでいると、漸く分岐点のT字路に突き当たった。ここで右に行くか左に行くかで悩むが、答えが出るはずもなく、とりあえず右に進む。少し進むと骸骨がゆっくりと歩いて現れた。
「ゲームで言うところのスケルトンってやつね。いや、スケルトンソルジャーか」
スケルトンは右手に剣を持っており、一見すると手強そうに見えるが、一対一なら大丈夫そうだ。なんてったって俺にはチートの盾が有るのだから。
まずは盾で受け流してからカウンターを決めようとイメージしていた所に、スケルトンソルジャーが剣で切りかかってきた。俺はいつものように盾を傾け受け流すつもりでいたが、スケルトンソルジャーの攻撃を盾で受けたのにもかかわらず、態勢を崩すどころかもう一度剣を振りかぶり切りかかってきた。
「あれ?盾が攻撃を弾かない?」
チート武器だと思っていた盾が仕事をしない。わざと剣での攻撃を何度も受けてみるが、やはり弾かない。その後スケルトンソルジャーをスコップで倒し、スケルトンソルジャーが持っていた剣を素早く拾い上げた。そして消えて無くなる前に何か異常がないかを見ていたが、時間切れのようで霧散していった。特に特別な剣でもなさそうで、原因が分からない。オオカミと戦闘していた時までは、盾がしっかりと弾いていたのは間違いない。いったい何が・・・
右側の通路は行き止まりだったので引き返す事に。そして先程のT字路に差し掛かった時に、階段方面からスケルトンが現れた。
「参ったな。挟み撃ちのリスクが上がったか・・・」
この狭い通路で挟み撃ちに合うのは仕方がない。魔物がその場で動かないのなら良いが、魔物は徘徊しているので必然的に挟み撃ちに合うのはあり得る話しだ。しかし、先程のスケルトンソルジャーとの戦闘時間は数分。そしてT字路に初めて辿り着いてから戻って来るまで十分も経っていない。階段を降りてきた際に後方は行き止まりなのは確認済み。ならこのスケルトンは何処から?・・・答えは魔物がリポップした訳じゃなくポップしたと言うこと。
敵がポップ&リポップするのはフィールドが広ければ問題ないが、この狭い通路では致命的だ。ある程度の強さがある探索者パーティーなら良いが、俺はソロ。本当に面倒だ。
スケルトンが腕を振り上げ殴りかかってきたのを盾で防ぐ。すると、攻撃してきたスケルトンが後ろにバランスを崩す。
ん?バランスを崩した?これは・・・。もう一度スケルトンの攻撃を受けてみると、盾が見事に攻撃を弾いていた。しかし何故?スケルトンとスケルトンソルジャーの違いは・・・剣?
もうこのスケルトンに用はない。スケルトンソルジャーを探し、検証したい。
スコップでスケルトンを殴り倒し次を探す。連続してスケルトンと遭遇するが、四回目にしてスケルトンソルジャーに出会う事が出来た。早速検証だ。
スケルトンソルジャーが剣を振り上げるのを見て攻撃を盾で受けてみるが、やはり弾くことなく受け止めた。そして何度か試してみるが結果は同じった。と、俺はここでスケルトンソルジャーの持つ剣を叩き落とし、スケルトンソルジャーをノーマルなスケルトンに格下げる事に成功する。すると、ノーマルなスケルトンが殴りかかってきたので、盾で受けるといつも通りに弾く。これで確定だ。剣が原因である。
魔物大氾濫時は、ゴブリンが持つ棍棒の攻撃を弾くことが出来たので、武器種の違いにより結果が変わると推測。その武器の違いは、打撃か斬撃だ。
今回の検証結果は、要は打撃武器ならいつも通りで、斬撃武器を持つ魔物に出会ったら注意しましょうって事。一応の検証も終わったので探索を再開したのだった。




