第63話
今回俺が目標とするのは、十六階層以上だ。
探索者として食べていけるボーダーラインは十六階層からと言われている。ドロップ率がどれ位で、換金額がどれ程になるかは分からないが、そう言われているなら行くしかない。
各階層の階段を降っていき、漸く十階層に辿り着いた。駆け足で来たのにも関わらず、疲れはそこまで無く程よく身体が温まって調子がいい。これが噂のダンジョンで若返ると言った現象だろうか。まぁ若返ると言うより、ステータスが底上げされたとの言いた方がしっくりきそうだ。
琴音さんに出会った場所に来てみるが、今日はいないみたいだ。彼女の管理しているダンジョンが世界中なのか、日本国内なのか、ここだけなのかは聞いていないので知らないが、彼女はいつもここにいる訳ではないと言う事だ。まぁスライムを介してコンタクトが取れそうな気はしているが。
その後すぐに十一階層への階段を発見したが、道中に出現するのは蝙蝠ばかりでトカゲを発見出来ずにいた。あれは琴音さんとの出会いイベントに用意されたエネミーだったのか?しかたなく、蝙蝠でも相手にしようとするが、天井に張り付いていて此方から攻撃が出来ない。俺は諦めて十一階層へ続く階段を降りて行った。
「ほぉ・・・凄く綺麗だ」
十一階層は、一面木々に囲まれた森林だった。しかも、間伐がいきわたっていて見通しが良く、木漏れ日が木々の隙間から差し、とても幻想的であった。木々の間を縫うように道が有り、その道を進んで行く。スマホで何枚か綺麗な木漏れ日を撮影をしながら歩を進めていくと、やっとこさ魔物に遭遇出来た。オオカミの魔物だ。
オオカミを視界に捉えながら、ゆっくりと接近していく。数は四頭。
嗅覚により気づかれたのか、視界に入ってしまったのか、オオカミが一斉に此方に向き直った。
「もうバレたのか。まさか俺の体臭って訳じゃないだろうな?」
自分を嗅いでみるが、わからない。風呂には入ったはず・・・加齢臭・・・じゃないよな?
オオカミはゆっくりと俺の周りを包囲しようとする。だろうな、数的有利なら俺だってする。しかし甘い。俺だって無策で挑む訳じゃない。まずはどのオオカミでもいい、木々を使い常に一匹の射線を潰しながら移動する。これで四対一から三対一だ。あとは、痺れを切らし・・・・・来た!
真正面のオオカミが突っ込んでくる。俺もそのオオカミに向けて突っ込む。そして、そのオオカミを左に躱しながら左側にいたオオカミに走り寄り、盾で殴り吹き飛ばす。やはり基礎能力の向上で、オオカミが俺のスピードについてこれないでいる。これなら四対一・・・いや、それ以上であっても十分やっていけそうだ。
オオカミを片付けた後、無事十二階層への階段を見つけた俺は降りていった。




