第62話
「退職届は無事処理されるそうだってさ」
俺は正月明けの出社時に退職の意向を伝え、今週末の今日、退職届を提出した。会社側も、最前線での仕事をリタイアした俺には期待も興味もなかった様に思えた。
そりゃ無駄に高い給料を払わなければならない人材よりも、若くて成長を期待できる人材とでは比べるまでもなかったか。後は引継ぎを丁寧にやれば円満退職だ。
「宗ちゃん良かったね、おめでとう」
「ありがとうな。これからはプロの探索者として頑張るから」
俺はサラリーマンを辞めて、探索稼業に専念する事にした。
それもこれも琴音さんと出会い、ダンジョンの楽しみ方や自分の成長が目に見えて実感し、生活に一番重要な資金を稼ぐ方法も教えてもらったのが大きな理由だ。それと、この先変わるであろう世界情勢にも注意したい。下手すると日本が被害を受ける事になるやもしれず、それによって家族に影響が出ないとは限らないからだ。
明日からは、国内ダンジョン全てで探索が再開される。これは野党や一般探索者からの要望で、予定より早期に再開される運びとなった。しかし、同盟国のアメリカは魔物大氾濫があった翌日には再開されていたので、日本は遅い方だ。探索で生計を立てている探索者からしてみれば死活問題である為、魔物大氾濫の翌日には大勢の探索者が押し寄せていたのだという。
翌日になり、今日から探索再開だ。
早朝にもかかわらずダンジョン協会事務所は、探索者で溢れかえっていた。
初心者っぽい装備の方も居るが、殆どの人が探索経験者に見える。その中に、先日会った飯島光輝さんも見え、その周りにいるのがギルド”光明の月”のメンバーだろうか、立派な装備を身に纏いプロの探索者の雰囲気全開だ。少し羨ましいが、俺は俺。今は只ダンジョンを楽しむだけだ。そして、誰一人向かわない旧ダンジョンの階段を降りていった。
二階層に着き、団欒部屋を出現させ中に入る。
「ごめんな。ダンジョンが封鎖されてたんだ」
スライムに来れなかった事を謝り、おやつの用意をしていく。
と、ここで気になっていた自分のステータスを確認する
国籍:日本国
名前:武田宗一郎
ランク:☆6
スキル:一家団欒『四次元に部屋を作成(ランク依存)』
ランクが6になっている。そりゃそうだ。俺の目の前にキッチンが有るのだから。
ランク5を飛び越して6なのは、魔物大氾濫の結果なのは予想出来る。格下の魔物と言えど、数にしたら何百もの魔物を倒していたのだから当然と言えば当然の結果だ。
そして残りの特典を探していた時にコンセントを発見した。特典は電気で間違いないだろう。確認の為ドライヤーのコンセントを差してみるが、うんともすんともいわない。ん~これは一旦保留だ。
しかし、本当にリビングが充実してきたな。もうここで普通に生活が出来そうである程に。
このままランクUPを続けていくと、二階への階段と部屋が増えていき、最終的にはどこぞの富豪の家になる気がしてきた。そこまで必要なのかどうかは分からないが。
さて、行くとするかね。




