第55話
一月三日午前
俺達は、ダンジョン一階ロビーに到着した。
既に、抗議活動家達も勢揃いしており、相変わらずの喧騒だ。
おっと、ここで立ち止まっていると昨日の輩に絡まれてしまう。俺達はすぐにゲートを潜り階段を降りていった。
まだ、例の件まで時間はあるので、足早に六階層を目指して進む。そして六階層に着くと、ここでお待ちかねの装備を団欒部屋から取り出す。
「これが今回の宝探しの景品だ」
装備を並べ彼女達に選んでもらう。一応は彼女達の個性を考慮してお薦めの装備の説明をしたが、予想とは少し違い、シールドは俺が、レイピアは詩織に、太刀と小太刀は彩音が、そして鞭は美晴が手に取った。
美晴さんや、お願いだからこちらに鞭を打たないでね。そんな趣味はありませんから。
軽く武器の感触を確かめる為にゴブリンを探すが、ここで問題が発生した。それは、彼女達がバラバラに飛び出したからだ。
彼女達もランクが☆3となり、自信が付いたのだろうが少し心配だ。しかし誰を追いかけても無駄だと悟った俺は、諦めてその場でストレッチしながら帰りを待った。
待つ事十分。誰一人帰ってこず、一人待ち惚けしていると、詩織が戻ってきた。
詩織の話を聞くと、レイピアの性能がヤバかったらしい。突くと抵抗もなく貫通し、振るうと撓り叩き切りそうな勢いだったと。何それ怖い。チート武器ですか?それ私にくださいませ。
続いて彩乃が帰還する。
彩乃の方も性能がヤバかったようで、木刀も硬く威力も申し分ない訳だが、問題はこの先の太刀と小太刀の両方を装備してからだ。
二つの木刀を振るえば振るう程速度が上がり、病みつきになりそうだったらしい。何それ怖い。貴方がチートですか?その武器も私にくださいませ。
残りの美晴は戻ってこない。しかし遠くから笑い声は聞こえる。んー、やっぱり・・・・・
「パパ迎えに行ったら?多分無双して気持ちよくなってると思うわよ」
だよな。行って来るか。
笑い声のする森に入るが、笑い声の聞こえる場所まで距離がある。そして森を抜け草原に出ると、その先の小高い丘の上に笑い声の元凶が・・・・・・
もしもこのダンジョンが死体が残る仕様なら、死屍累々の惨状だったと想像できる程に鞭を振るう美晴がいた。
「キャハハハ」
「ったく、死体が残ってないだけましか」
美晴が未だ振るい続ける鞭を受け止め、美晴を静止させる。
「武器の練習は済んだろ?戻ろっか」
「宗ちゃん・・ごめん。気持ち良すぎてつい・・」
美晴をギュッと抱きしめ、心を落ち着かせる。
落ち着いたのを確認し手を繋ぎ、戻る道中のゴブリンは俺が処分していく。
さぁそろそろ時間だ。家族を守る為にも、気合入れて頑張るか。




