第53話
その後の用事も無いので、いつものように団欒部屋に荷物の搬入だ。そして相変わらず一階ダンジョンゲート前には人だかりで押し問答中。俺はその横を一人通り過ぎて行く時に、横目に何人かの初心者っぽい装備の探索者を見つけ少し心配になる。
この新しいダンジョンは現ダンジョンと違い、敵の数も多く強い。琴音さん曰く、ソロでコボルトを相手出来る位の強さが無いと、三階層までも進めないだろうとも言っていた。
新しいダンジョンに興味を持つのはいいが、実力を伴っていないと死ぬからな?
いつもの一階層奥には行かずに二階層へと向かった。それは、二階層を探索する人がいないからである。そして、今朝の小岩があった場所に辿り着くと団欒部屋を出現させ、荷物の搬入を完了させる。その後搬入した荷物を整理している所に、スライム君がのっそのっそと近づいてきた。
「今日は仲間?のスライムが宝探しの手伝いをしてくれたぞ。ありがとな」
頭を撫でていると喜んでいるのか分からないがプルプルと軽く振るえる。二階層のスライムも一応は仲間扱いになるのか?なんだか凄く気になってきた俺は、散歩に行くか?とスライムに尋ねてみると高速とまではいかないが、激しく身体をプルプルプルプルと振るわし、行きたい事をアピールしてくる。俺はスライムを散歩に連れだした。
散歩と言ってもリードは必要ないし、便の後始末の必要もない。その上、薄いピンク色しているので他のスライムと間違いようがなく、動きも遅い。凄く楽な散歩だ。
ボーっとうちのスライムを眺めていたら、薄い青色をしたスライムが現れる。漸く現れたスライムがうちのスライムに近づいていく。そのスライムに気づいたうちのスライムも近づいていく。そして二匹がニュウッと腕らしきものを伸ばし、意思疎通をする為なのか分からないが接触した。一分程その状態が続き、二匹のスライムの腕らしきものが戻っていく。
『僕のご主人様の宗一郎さんだよ。仲良くしてあげてね』とでも言ってるのかな?どういった意思疎通が出来たのかは分からないが、敵対していない事が分かっただけで十分な気がする。俺達にも敵対していない事を祈って。
その後、一時間程の散歩も終わり帰宅した。勿論ダンジョンゲート近くでは未だに押し問答が続いていた。一体何時間やってるんだ?
その日の夜、テレビがダンジョンについて特集を組み、自称ダンジョン専門家を名乗る男達が好き勝手に持論を述べていた。そしてその自称ダンジョン専門家の一人が、ダンジョン内の魔物を殺してはいけないと持論を展開した。その男は、魔物を人に例えだし探索者は人殺しだ!今からでも共存するべきだ!と言う。じゃぁダンジョンで魔物と共存出来る証明してみたら?簡単だろ?と言ってやりたい。今や誰でもダンジョン専門家を名のれる時代だ。好きにすりゃいい。所詮自称だし。
次の日の朝、今日も今日とてダンジョンへ向かう。完全にダンジョン探索が生活の一部になっている俺は、今日も荷物の搬入に勤しむ。ダンジョン一階ロビーに到着すると、昨日の人達も来ていて、今日も今日とて抗議をしているみたいだった。
今回は何故かプラカードまで持参している人がいる。デモ隊か?と、よく見てみると何故か老人が多数混じっており、色々と察してしまった。巷で噂のデモバイト・・・何処ぞの政治団体が政局に利用したいのだろう。変な団体に目を付けられると面倒くさいから逃げよう。




