第51話
「こちらでどうでしょうか?」
琴音さんが何も無い空間から武具を取り出し、俺は並べられたその武具を一つ一つ確認していく。
一つ目はシールド。俺のシールドより二回りは大きく、重量は然程変わらない。これは俺が装備するとしよう。
二つ目は鞘付きの木刀であるが太刀と小太刀のセット。なかなかに中二病を再発しそうな見た目である。これは美晴用でいいよな。
三つ目。これは鞭だよな?何かのプレイにでも・・・・ゲフンゲフン。まぁこれは彩乃でいいや。
『アハハハハ女王様の御前よ!』なんて言ってそうだし。知らんけど。
四つ目はレイピアだな。何処かの騎士様ご愛用の武器みたいで恰好いい。これは詩織で確定っと。
「琴音さん。ありがとう」
「いえいえ、楽しませてもらったお礼ですから」
その黒歴史忘れてもらえません?
その後琴音さんから装備を頂いた俺は、琴音さんに貢ぎ物と言う名のデザートを渡しダンジョンを後にする。
ダンジョンの入口に戻った俺は、早朝時には無かった一階ロビーの喧騒に驚いた。中には怒号ともとれる叫びも聞こえ、何事かと注視する。
「皆さん落ち着いてください!」
受付の人が落ち着かせる為に大声を出すが誰も止まらない。
そんな中、俺はそそくさと出口へと向かう。そして入口近くで振り返り辺りを伺うと、かなりの人数の探索者らしき人々がいた。まぁこうなるだろうなと呟き、静観して様子をみる。
「早く封鎖を解除しろ!」
「権利は我々に有るはずだ!」
いや、無いぞ?ここ、ダンジョン協会の敷地だし。
「アメリカは既に解放しているぞ!ここもすぐにでも開放しろ!」
どうしても日本は初動が遅いんだよなぁ。お役所は今、休みだし。もし動き出すにしても安全を確保してからだろうな。日本だし。
「皆さんお静かにお願いします。ここはまだ安全性が確保されていません。安全が確保されてからになりますので暫しお待ち下さい」
ここで言う安全性の確保ってのは、ダンジョン内の魔物の強さを意味する。俺達が潜っているダンジョンは初心者に優しく、徐々に慣れていけば危険性が低く安全な探索活動出来る。しかし世界にはそうじゃないダンジョンがある。中でも有名なのが中国にあるダンジョンで、一階層からサイクロプスと呼ばれる巨大な一つ目の魔物が闊歩し、三年前にダンジョンが出現した時は阿鼻叫喚の地獄だったと言われており、そのダンジョンはすぐに封鎖され、未だ入場出来る探索者は限られている。巷では最強のスキルリングが手に入いると噂されていた程に危険なダンジョンだ。




