第50話
二階層に着いた俺は時計を見ると5時まであと3分となっていた。ここではしっかりとストレッチをし、身体の各部位の可動域をチェックしていく。そして残り3分間をストレッチに使い、5時になった俺は走り出した。
今まで二階層の入口でしか探索したことがなく、二階層を真面目に探索するのは初めてだ。しかし広さはそれ程ではないので早いうちに目的の物は見つかるだろう・・・・・・・・と、そう思ってた時期が俺にもありました。二時間・・・・二時間近く探し回っても何も見つからない。と言うか怪し所も見つからない。こ、このままでは俺の・・俺のブーストタイムが終わってしまう。俺の活動限界は7時だ!
と、中二病的思考で一人ごっこ遊びしてる所に、一匹のスライムが俺の目の前を横切っていく。
「そこのスライム君、お宝知らない?宝探ししてるんだよ俺」
もうヤケだな。藁でもなんでも縋りたい気分の中、通りすがりのスライムに道を聞くかのように思わず声を掛けてしまった。
「はぁ、もう一度回ってみるか、見落としがあるかも知れないし」
重い腰を上げ、立ち上がった際にスライムが視界に入る。そのスライムの一部分が横に伸び、何かを指差しているように見えた。
何?向こう?向こうに有るって事?いかんいかん、幻覚が見えてきた。スライムが俺と会話した上に、お宝の場所まで教えてくれるって?そんなバナナ。
スライムが差している方向をよく見る。特に怪しい箇所は見受けられない。唯一少し怪しいと思えるのは違うスライムがスタンバイしている所だ。まさか、あのスライムに聞けと?ハハ、マジで?いや、一応聞いてみるよ?走り回ってたから凄く疲れているし。汗もダラダラだし。
俺はそのスライムに辿り着き、同じ質問を繰り返す。すると又一部分が伸びていき何かを差す。そしてその方向を見ると、そこにもスライムが。これが昭和のギャグ漫画ならズッコケている所だぞ?
その後・・・・・・十回も繰り返され、漸く差したその方向にスライムはいなかった。長ぇよ!
しかし差された方向に宝箱は見られない。と言うか、小岩が鎮座しているだけだった。この小岩が?と思い小岩を触ると・・・・違う。肌触りが岩じゃない。触れた感触がハリボテ感全開だ。見た目は小岩に見えるが、触れてみると紙だ。この精巧に作られた小岩に思わず叫びたくなった。
「匠の技使ってんじゃねぇよ!」
大丈夫。ここには俺しかいない。突っ込みが独り言であろうが、ここには俺一人しかいない。
そして小岩を動かし、中にあった宝箱を開けようとした所で突然声を掛けられた。
「おめでとうございます」
身体がビクつく。突然俺の背後から声を掛けられたからだ。そしてその犯人は勿論琴音さん。だよな。スライムが道案内するなんて聞いた事がない。
「いやぁ、宗一郎さんって面白い方なんですね。とても好感がもてましたよ?」
いつからそこに?全部聞かれてた?待て待て、俺はそこまで声に出していなかったはず・・・
「心の声がだだ漏れでしたよ」ニコッ
うわぁあああああぁ
「今回は楽しませてもらえたので特別にサービスしますね?」
いや、その、あの、ま、まぁサービスしてくれるなら黒歴史の一つや二つぐらい、どどどどどどどどおってことないぞ?




